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2021.04.06
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半導体・フラットパネルディスプレイ・電子部品製造装置向け耐食性表面処理「VACAL-Z」の販売を開始

株式会社アルバック(本社:神奈川県茅ヶ崎市、代表取締役社長:岩下節生、以下アルバック)は、半導体、フラットパネルディスプレイ(FPD)、電子部品等の製造工程で使用する、CVD やエッチング装置など腐食性ガスを使用する真空装置の内部部品に用いる耐食性処理「VACAL-Z(バッカル ゼット)」の販売を開始いたします。本処理で、従来の耐食性処理がもつ問題点を解決し、お客様の製造工程においてデバイスの性能や歩留まりの向上に貢献してまいります。

【概要】

腐食性ガスを用いる真空装置においては装置内部部品を腐食から守る耐食性の表面処理が必要となります。従来用いられている表面処理は、熱サイクルによりクラックが生じ、耐食性を悪化させ、パーティクルの発生源となる、といった点や被膜自体にアルカリ金属など製造プロセスに悪影響を与える不純物を含有する、被膜からの放出ガスが多いなどの問題がありました。
また被膜処理できる部品の大きさにも限界がありました。
アルバックは、これらの問題に対し、自社のFPD製造装置に向けての耐食性処理として、この「VACAL-Z」を開発、自社装置に使用し既に多数の実績を残しております。ご使用のお客様からは、アルバック製以外の製造装置へも「VACAL-Z」の表面処理を要望される声も多く寄せられております。

【商品概要】

1.商品:アルミニウム合金耐食性表面処理
2.名称:VACAL-Z(バッカル ゼット)
3.用途:半導体、FPD、電子部品等製造用真空装置(CVD、エッチング装置)

【特長】

1.低放出ガス 従来処理の1/12
2.クラックが生じない 低パーティクル、高耐食性の実現
3.アルカリ金属フリー、ドーパント元素フリー
4.大型部材への処理が可能 Max 1.6m×2mまで被膜可能

【販売方法】

対象部品を御支給いただき、弊社にて処理を行います。

お問い合せ

アルバックテクノ株式会社 表面処理事業部 営業技術部
TEL:0467-86-5511

関連ウェブサイト

https://www.ulvac.co.jp/
https://www.ulvac-techno.co.jp/chemical/vacal/index.html

【補足説明】

半導体製造装置やFPD製造装置で腐食性ガスを使用する真空装置にはアルミ合金部材が使われています。アルミ合金部材に対する耐食性表面処理は、アルマイト処理が一般的です。アルマイト処理は、アルミ合金の表面を15μm程度の厚さの酸化皮膜で覆う処理で、アルミサッシに代表される耐候性が必要なアルミニウム合金製品の多くで用いられています。この技術は耐食性を必要とする真空装置部品にも使用されてきました。しかしながら、真空装置内で使用するためにはアルマイト処理は以下の2つの点に問題がありました。
1.気体の放出が多いこと
2.室温~100℃の間で温度を繰り返し上下させると酸化皮膜にアルミニウム合金まで達するひびが入り、ひび部は耐食性が著しく低下すること

これらの問題解決のために弊社では、従来のアルマイト処理を真空装置用に最適化したポーラス型のVACAL-SAL,VACAL-OXを開発しました。また、バリア型ではスーパーアルピカ®を三愛プラント工業(株)と共同開発し、2006年にリリースするなどを行ってまいりました。このような問題解決の試みは約20年にわたって継続しております。
今回これら独自技術をより進化させることにより、マイクロアーク型のアノード酸化処理VACAL-Zを開発し、上記の課題を根本的に解決することができました。

【技術の概要】

VACAL-Zはアノード酸化処理の一種です。マイクロアーク型アノード酸化処理といわれるもので、アルミニウム合金の表面に15μm程度の酸化層を成長させます。電解液中で、被処理物を陽極にして電圧をかけることで表面に酸素を呼び込みアルミニウムを酸化させます。この方式では、数100Vの高電圧を印加するため、電解液中で火花放電が起こります。火花放電により表面に形成されていた酸化アルミニウムが溶解します。溶解した酸化アルミニウムは電解液で冷却され再び固化します。これが繰り返され、結晶性で、溶岩状の形態の酸化皮膜が形成されます。この皮膜は、結晶性で水和物ではなく気体放出が少ないという特徴をもちます。また、溶岩状の構造の空隙が応力を緩和するために加熱と冷却が繰り返されても皮膜に新たなひび割れが発生しません。これにより上述の1、2の2つの問題点を解決しました。従来からマイクロアーク型アノード酸化処理は知られていましたが、その電解液は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、リン酸ナトリウムを主成分としており、これらの元素が酸化皮膜中に取り込まれます。
ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、リンなど、半導体のドーパントとして用いられるような元素は、デバイス性能に悪影響を及ぼすため半導体製造装置、FPD製造装置内に入れることはできません。VACAL-Zは、これらの不純物が酸化皮膜中に取り込まれない電解液を使用することで、アルカリ金属及びドーパント元素フリーを実現しました。また、VACAL-Z はダメージを受けた酸化皮膜を剥離し、再び新たな酸化皮膜を形成する再生処理が可能です。これにより処理対象物を新品に交換することなく新しい酸化皮膜を形成できるため、消耗部品の経済的な運用を可能にします。

【技術の特徴】

1. アルミニウム合金用マイクロアーク型アノード酸化処理
2. アルカリ金属フリー、ドーパント元素フリー
3. ガス放出量が少ない
4. 熱サイクルにつよい
5. 再生処理が可能

【VACAL-Zの形態写真】

vacal_z_1.PNG

VACAL-Z の表面には穴が開いており、断面の観察とあわせて、膜の構造が溶岩状であることがわかります。これらの穴の開いた構造により熱サイクルを受けても、皮膜に新たなひび割れが生じません。

【VACAL-Zの成分分析】

vacal_z_2.PNG

VACAL-Z皮膜中には酸素と合金成分のアルミニウム、マグネシウム、シリコンしか検出されません。真空槽で嫌われるK,Na などのアルカリ金属、P,B などのドーパント物質は含まれません。

【従来性能との比較】

vacal_z_3.PNG従来のアルマイト処理に比べて、ガス放出量が少ない(約12分の1)ことが分かります。

【加熱前後のVACAL-Zとアルマイト】

vacal_z_4.PNG

左上:VACAL-Z(加熱前),右上VACAL-Z(加熱後),
左下:アルマイト(加熱前),右下:アルマイト(加熱後) *加熱は大気加熱300℃で6時間

高温部で使用する場合、アルマイトは加熱することによりクラックが発生し、母材が露出するため耐食性低下が発生します。VACAL-Zは加熱してもクラック等の発生がなく、耐食性は維持されます。

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