リークディテクタ
「HELIOT 900シリーズ」の開発

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(※この記事は、2015年6月発行のテクニカルジャーナルMo.79に掲載されたもので、内容は取材時のものです。)

3.4 スニッファー

「HELIOT 900シリーズ」のスニッファー仕様は,

Aユニット: 先端にキャピラリーチューブを搭載したプローブ型
Bユニット: 小型ポンプを内蔵したブースターポンプ
ユニットを本体テストポートにマイクロセパレータと共に取り付けて使用するものの2種類のタイプがある(Figure 6).
これらのスニッファーユニットの開発では,主に以下の点について考慮した.
①耐久性
多様な漏れ試験現場において,漏れ試験対象周辺からの異物吸い込みにより生じるキャピラリーチューブの詰まりや,ひいては,本体内構成機器(複合分子ポンプや各テストバルブのシール部)への異物混入による機器動作不良,また,試験者のハンドリングによるスニッファープローブの物理的な破損への対策を考慮する必要がある.
今回のスニッファープローブでは,対象ガスを吸い込む要所となるキャピラリーチューブの上流部に,焼結金属エレメントを配置して保護することにより,キャピラリーチューブ内径を上回る異物吸い込み要因を物理的に排除した.また,同エレメントは,プローブ内部に固定されているため,外れてしまうリスクも軽減されている.
そして,試験者が握るハンドル部を従来のプラスチック製から金属製にしたため,リークテスト中のプローブの落下などに対しても,強度を増した構造とした.
②応答性
キャピラリーチューブは,プローブ先端に配置することにより,サンプリング対象に可能な限り近づいた構造となったため,従来機種に対して10~20%の応答性が向上した(Aユニット).
また,Bユニットで使用するブースターポンプも従来機種に対して,到達圧力が低く,流量特性が優れたものを使用している.
③その他
スニファープローブ及びホースは軽量化を行い,取り回しがしやすくなっている.また,ブースターポンプユニットは,本体のコネクタに接続することで自動的に動作し,本体もブースターポンプユニットを認識したリークテストモードで起動するようになっている.

Figure 6 Appearance of a sniffer unit.
Figure 6 Appearance of a sniffer unit.

3.5 筺体,モバイルカート

筺体及びデザインは当社規格品事業部統一デザインを採用し,W1タイプで従来比10kgの軽量化を行った.
コネクタパネルには,従来お客様にご用意して頂いたベントポート用継手を取り付けた.空冷ファンにはフィルタが取り付けられており,内部に細かい塵や埃が入らないようにしている.

また,従来よりも内部冷却能力を高めており,東南アジアなど比較的気温が高い地域においても十分な性能と信頼性を確保している.
モバイルカートは,大型のキャスター,段差を超える時に前輪を上げるための足をかけるスペース,足踏み式ストッパブレーキ,凹凸のないパネルカバーを採用することによって,移動し易くなっている.また,移動時にタブレットを収納するスペースを用意している.

リークディテクタHELIOT900の3つの特長