光の新しい利用形態 通信・化学・医療に

普段皆さんが目にしている光は電界ベクトルの振動方向がランダムな”非偏光”と呼ばれるものです。一方、電界ベクトルがある一定の規則で振動している光を”偏光”といい、なかでも振動の軌跡が光の進行方向に対して垂直な面内で直線になっているものを”直線偏光”、円になっているものを”円偏光”と呼びます。

図1は直線偏光が円偏光に変換される様子です。任意の偏光状態は直交する2つの直線偏光(赤と緑の横波)の合成(水色の横波)で記述することができますが、この2つの直線偏光が同位相で振動していれば合成波は直線偏光に、また位相差を1/4周期分与えれば合成波は円偏光となります。図中の橙色の直方体は1/4波長板と呼ばれる光学素子の機能を概念的に表したものです。

直線偏光から円偏光への変換
図1 直線偏光から円偏光への変換

円偏光を用いれば高情報密度・高秘匿性通信や新原理の記録媒体、3Dディスプレイ、微小な癌細胞の診断などに応用可能であると考えられています。しかし、円偏光を安全かつ高効率に生成可能な微細素子は実現できておらず、社会実装の障壁となっています。

アルバックでは成膜・微細加工技術を駆使して新たなアプローチによる円偏光光源の開発を行っています。