よりリアルな映像に QLED、μLED

2018年に4Kテレビ放送が始まり、4Kテレビは一般的になってきました。しかし、高い臨場感や微細な情報までを表現する付加価値の高い映像のために、より高精細なディスプレイが求められています。色の情報量も格段に増加するため、広い発色領域が必要です。単色性の高い発光にはナノメーターサイズの半導体、量子ドット(QD)が最適です。

「QD」
現在、社会で広く利用されているLEDは、GaN・GaAsなどの化合物半導体を使用しており、それらは半導体のバンドギャップに等しいエネルギーの波長の光を放出します。この半導体のサイズが小さくなり、ナノメートルのサイズになるとどうなるでしょうか? 原子百個分の大きさのため量子力学が支配する世界であり、電子の広がりを考えなくてはなりません。粒子のサイズが電子の広がりよりも小さくなると、エネルギーの離散化の効果が強く現れるので、粒径が小さくなるほど半導体のバンドギャップが大きくなります。このことは粒径を変えることで、発光波長を制御できることを示しており、ディスプレイの色表現に最適です。

アルバック未来技術協働研究所では、輝度の高いQDの開発を目標とします。

自発光素子の有機ELディスプレイはスマートフォンでは広く使われ、2019年フレキシブルディスプレイを搭載したスマートフォンが発売されました。しかし、製造方法の特殊性からテレビサイズにするのが困難です。同じ自発光の無機EL(LED)は化合物半導体なので、従来の半導体プロセスと親和性が高く大型のディスプレイにできると期待されています。μLEDは、高い表現力、臨場感、低消費電力といったディスプレイの進化だけでなく、透過型、フレキシブルなど新しい用途への広がる可能性があります。透過型ディスプレイは仮想現実(VR)、拡張現実(AR)モバイルデバイスを実現するためのキーテクノロジーです。

アルバックでは、流体を用いた新たな手法による、高速配列技術を開発します。