圧力と単分子層の関係とは?

真空ひばりの真空教室 Vol. 7

はじめまして! 真空(まそら)ひばりです。
この教室で皆さんに「真空」のことをいろいろレクチャーしていきます。よろしくネ♪

単分子層形成時間とは、物質の表面を気体分子が覆い尽くす時間のこと

真空ひばり(まそらひばり)真空教室の講師を努める27歳。普段はコンタクトだが、白衣の時はメガネをかけるのがこだわり。

Vol.6で紹介した平均自由行程は、実際に測定するわけではありませんが、少なくとも計算で理論値を出すことはできます。ところが、今回ご紹介する「単分子層形成時間」は、測定方法を工夫することで、簡単に値を出すことができるんです。

そもそも圧力とは、気体分子が壁などにぶつかって跳ね返るときに相手に「撃力」という力を与えることで発生します。これってボールを壁にぶつけて跳ね返ったときに、壁が力を受けるのと同じことで、気体分子が壁にぶつかって跳ね返るときに壁に与えるトータルな力が圧力ということになります。

壁にぶつかった気体分子は、最初の一層で壁にくっつくものが存在しますが、実際にはくっついたり離れたりしています。でも、ある程度の気体分子は、常に表面に存在しているんです。

単分子層形成時間が長いほど利用範囲は広がる

気体分子の大きさはわかっているため、表面に何もない状態から気体分子が並んで覆い尽くしたとすると、その時間は計算することができます。

これを計算すると、大気圧の105Paでは、3×10-9秒と、とても短い時間で表面は気体分子に覆われます。さらにもっと圧力を下げて、蒸着などで利用する10-2Paや10-3Paになると0.3秒ほどで表面は気体分子に覆われます。これが10-6Paになると、5分間ほどかかり、10-8Paになると、表面が気体分子で覆われつくすまでに、なんと8時間ほどかかることになります。

この8時間くらいの時間があると、吸着分子で覆われる前の固体表面の真の姿を見ることができます。なので、表面の分析などを行うときには、こうした低い圧力で表面がガスで覆われていない表面を出す必要があるんです。

他に、物質の表面に膜をつくるときなども、こういう低い圧力の状態で行うと、気体分子が入らないきれいな膜がつくれます。とくにゆっくりと膜をつくると、きれいな単結晶膜を得ることができるんです。

用語解説

単分子層
分子が液体または固体の表面や界面につくる分子の直径程度の層を単分子層、または単分子膜という。

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