空間から気体分子を吸い出すことで 「真空」をつくることができる!?

真空ひばりの真空教室 Vol. 2

はじめまして! 真空(まそら)ひばりです。
この教室で皆さんに「真空」のことをいろいろレクチャーしていきます。よろしくネ♪

空間から気体分子を吸い出すことで「真空」をつくることができる!?

真空ひばり(まそらひばり) 真空教室の講師を務める27歳。茅ケ崎生まれ茅ケ崎育ちだがサーフィンはやらない。
真空ひばり(まそらひばり)
真空教室の講師を務める27歳。サバサバした性格で、細かいことは気にしない。意外と人見知り。

Vol.1では、真空について「空間に何もない状態ではない」「人が真空ポンプを使って作り出した低圧状態である」というお話をしましたが、では、「空気は何でできているのか」知っていますか?

空気の中に一番たくさん含まれているのが、窒素と呼ばれるガスで約78%。 次が酸素で約21%。もちろん酸素は、私たち人間をはじめ、生き物が生きていくために大切なものですね。その他には約0.93%のアルゴンなどで構成されています。

また、量は多くありませんが水蒸気や二酸化炭素、自動車の排気ガス、あるいは私たちが匂いとして感じる有機化合物など実際の空気にはとてもたくさんの物質が混ざっています。私たちの周りにある気体は、このような物質のとても小さな分子が、高速でさまざまな方向へ動き回っている状態としてイメージすることができます。私たちはそれらのたくさんの分子の集まりを空気として感じているんです。

空気中の気体分子を真空ポンプなどで吸い上げてあげることで、容器の中の気体分子の個数が少ない状態、つまり真空を人工的に作り出すことができるんです。

ちなみに、このことをもとに科学的に気体の性質を議論する学問を「気体分子運動論」といいます。

そして分子の数がとても多い場合、分子全体を統計的に観察することが可能になります。これは「統計力学」として知られ、気体が関係するさまざまな現象が説明できます。

大気圧に逆らって「真空」をつくることは困難

私たちは、昔から気体について、このような現象や知識を理解していたわけではありません。

大気の押す力、「圧力」は意外に大きく、1㎡の平面に約10t(10,000kg)、ダンプカーの積載量分くらいの力がかかります。

この大気圧に逆らって真空状態をつくって維持するのは大変なことです。真空を作り出す方法や道具がなかった頃は、アリストテレスが「自然は真空を嫌う」と考えたのも当然かもしれませんね。

技術が進んだ現在でも、気体分子がまったくない状態をつくることは、とても難しいことなんです。

用語解説

気圧

気圧とは大気の圧力のこと。単位面積の上に大気の上限まで鉛直にのびた気柱の重さに等しくなる。そのため地表より高い所にいくほど、上部の気柱が短くなるので気圧は低くなる。