薄型液晶テレビに不可欠な薄膜製造技術

真空ひばりの真空教室  Vol.16

はじめまして! 真空(まそら)ひばりです。
この教室で皆さんに「真空」のことをいろいろレクチャーしていきます。よろしくネ♪

薄型液晶テレビにも薄膜製造技術が不可欠

今回は薄型液晶テレビのお話です。

真空を利用した薄膜製造技術は、プラズマテレビや液晶テレビなど、どちらの方式の「FPD(フラットパネルディスプレイ)」にも多用されていますが、ここでは液晶テレビの「TFT方式」について、その利用技術を紹介します。

液晶テレビは、TFTをマトリックス状に並べた「TFTアレイ」とカラーフィルタの2枚のガラスで構成され、その5μmほどの間に液晶が閉じ込められています。TFTアレイは、画素ごとに電圧を制御して、その変化に応じて液晶の向きを変える役目をします。そしてその液晶の向きによって光の遮断や透過量が調整されて、そこを通り抜けた光は、カラーフィルタに備えられているR(赤)、G(緑)、B(青)の3原色によって発色し画像を表しているんです。

透明電極は、エッチングで形成される

真空ひばり(まそらひばり)真空教室の講師を務める27歳。最近、外出が多くスーツを着る機会が増えた。

TFTのこと、説明が遅れましたが、TFTとは、Thin Film Transistorの略で、直訳すると薄膜トランジスタのことです。TFTは、RGBの3原色それぞれにトランジスタ、透明導電膜、配線を薄膜で形成し、一つひとつの画素の点灯を制御します。液晶テレビの製造は、まずガラス基板への成膜からスタートします。ここでは前回のお話にも出てきたスパッタリングや、蒸着法の一つのCVDなどを利用して、透明導電膜やパターンニングするときの配線用の成膜を行います。

基板への配線は、まず膜をベタ付けしてから必要な配線を残すという形で行われますが、こうした成膜はすべて真空中でつけられます。また、基板を削って加工するエッチングには、ウエットエッチングと真空中で行うドライエッチングがあります。ドライエッチングは、膜と反応しやすい塩素やフッ素が含まれているガスを封じ込めて放電させて、発生したフッ素や塩素で材料を削り取っていくんです。さらに液晶を滴下した後で、真空中にTFT基板とカラーフィルタの貼り合わせを行うといった具合に、いろんなところで真空技術が利用されています。普段何も考えずにテレビを見ているけど、考えてみたらテレビってすごい技術の集合体なのね。

液晶の構造

用語解説

液晶
ある温度範囲で液体のような流動性をもつと同時に、分子が規則的に配向するという秩序を伴う性質を持つ物質。

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