「低真空」から 「極高真空」まで 真空の5つの分類

真空ひばりの真空教室 Vol. 4

はじめまして! 真空(まそら)ひばりです。この教室で皆さんに「真空」のことをいろいろレクチャーしていきます。

私の名前「真空ひばり」は、ボイルの法則で知られる科学者、ロバート・ボイルが、真空中では音が伝わらないことを知るために「ひばり」を使って実験したという逸話をもとにつけられた名前です。よろしくネ♪

真空は、圧力に応じて「低真空」から「極高真空」まで5段階に分類されている

Vol.3では、「真空を表す単位の圧力は、移り変わってきた」というお話をしました。今回はその「圧力」の範囲に応じた分け方についてのお話です。

通常の大気圧は105Paを示しますが、これより低い気圧の場合が「真空状態」ということにされています。現在、技術的につくれる最も低い圧力は「10-12Pa」とも言われていて、ひと言で真空と言っても、なんと104Paから10-12Paまで17桁にも及ぶ範囲に広がっているんです。

JIS(日本工業規格)では、真空を圧力の範囲によって

低真空(low vacuum105Pa102Pa

中真空(medium vacuum102Pa10-1Pa

高真空(high vacuum10-1Pa10-5Pa

超高真空(ultra high vacuum10-5Pa10-8Pa

以上の4つに分けて呼ぶようになりましたが、1990年代に10-8Pa以下の圧力を極高真空(extremely high vacuum 10-8Pa以下と呼ぶようになって、5段階に分類されるようになったんです。

真空ひばり(まそらひばり) 真空教室の講師を務める27歳。2年ほど彼氏がいない。絶賛彼氏募集中。

日本では、1990年代にこの「極高真空」を得るためのポンプやいろいろな材料、それと得られた圧力を測る計測器の開発が活発に進められました。でも、現在は、先端産業によく使われている圧力領域はほとんど「超高真空」まで。「極高真空」は出番待ちといった状況のようです。

これらの5つの圧力領域ぴったり合うわけではないですが、それぞれの圧力によって使用する排気ポンプ、真空計、材料などは変わります。

それから、作られた真空の残留ガスの成分も圧力領域によって異なることが知られています。JIS(日本工業規格)の「真空を用いた工業製品を作るための規格 JIS Z 8126-1」では、圧力領域と代表的なポンプ、真空計、残留ガス区分が記載されています。

圧力だけでなく、質も重要なポイント

真空について考えるときには、圧力領域だけに目が向きがちですが、実は「質」も重要なポイントなんです。「真空の質」とは、どのような気体が真空装置内に残っているかが関係しています。

たとえば、真空状態にした容器の中で対象物に薄い膜を付ける装置を成膜装置と言いますが、その成膜装置の場合、油などの有機成分が多く含まれた真空装置で成膜した膜は、たとえ成膜前に同じ圧力まで装置を排気したとしても、油が含まれていない成膜装置で成膜した膜に比べて、密着性が極端に悪くなってしまうんです。

そのためにどうするか。油が装置内に紛れ込まないように潤滑油などを使うポンプの使用を控えたり、使用する材料の選択はもちろん、洗浄を注意深く行ったりすることが必要になります。

アルバックの真空ポンプラインアップ

用語解説

圧力

圧力の強さは(力)÷(面積)の単位で表されます。国際単位系では、1㎡に1N(ニュートン)の力が一様にかかっているときの圧力の強さが単位になる。これをパスカルと呼びPaで表す。