G10.5 Sputtering 装置「SMD3400」の開発

1.はじめに

近年,FPD 市場において,液晶TV に代表される大型パネルとスマートフォンやタブレットといった高精細モバイルの中小型パネル量産のためのパネルメーカー設備投資が活発化している.大型パネルの製造装置は,生産に使用されるマザーガラスのサイズが第8.5 世代(G8.5)と呼ばれる2500 mm×2200 mm が主流であり,マザーガラスサイズは2010 年の第10 世代(G10)を最後に大型化は停滞していたが,最近になってパネルサイズの大型化(55,60 インチから65,70 インチ)に伴い,マザーガラスサイズもパネル面取り数の効率を上げるため,G8.5 に対して一回り大きいG8.6,更にはマザーガラスサイズの長辺が約3400 mm となる第10.5 世代(G10.5)の設備投資が各パネルメーカーで計画されている.一方,中小型パネルにおいても,従来の液晶パネルの製造装置に加えてOLED パネルの製造装置の設備投資が加速度的に増加しており,バックプレーン(TFT 基板)の製造装置は第6 世代(G6)が主流となっている.
当社では,バックプレーン(TFT 基板)の製造装置として,TFT 基板に用いられる金属配線膜,透明導電膜,IGZO に代表される酸化物半導体層をスパッタリングで形成する装置である「SMD シリーズ」1-3)をラインナップしており,パネルメーカー各社の量産に寄与している.
本稿では,G10.5 対応のスパッタリング装置として開発したSMD3400 のハードウェアの概要と金属配線膜に用いられるCu と透明導電膜のITO のプロセス検証結果について述べる.

水野雄介*1・磯部辰徳*1・新井真*1・清田淳也*1・齋藤一也*1・大野哲宏*2・久司修平*2・中島利夫*2・ 大空弘樹*2・佐藤重光*2
*1 Institute for Super Material, ULVAC, Inc., 2500 Hagisono, Chigasaki, Kanagawa, 253-8543, Japan
*2 FPD・PV Division, ULVAC, Inc., 2500 Hagisono, Chigasaki, Kanagawa, 253-8543, Japan

(※この記事は、2017年9月発行のテクニカルジャーナルMo.81に掲載されたもので、内容は取材時のものです。)

2.第10.5 世代(G10.5)対応スパッタリング装置

G10.5 対応スパッタリング装置「SMD3400」の模式図をFigure 1 に示す.対応マザーガラスのサイズはG10.5となる約3000×約3400 mm である.装置は,基板をカセットからトレイに着脱するポジション室,基板トレイのLoading/Unloading 室,基板を所望の温度まで加熱させるヒーター室,スパッタ室は2 室備えており,1 室はCu プロセス,もう1 室はITO プロセスで構成される縦型搬送の成膜装置である.Cu,ITO ともにカソードタイプはプレーナーターゲットを並べたマルチカソードである.
この装置はマルチカソード特有のカソード形状に起因する膜厚分布を従来の成膜方式から改良した新型成膜方式により改善することができる.従来,マルチカソードで基板を静止して成膜した場合,カソード形状に起因した波状の膜厚分布が発生する.膜厚はターゲット直上の膜厚が厚く,ターゲットとターゲットの間は膜厚が薄くなる傾向を示すが新型成膜方式により,波状の膜厚分布を改善させることができる.この成膜方式は既設の「SMD2400」でも実績がある方式であり,膜厚分布に起因したパネルの表示ムラを改善するための量産技術として確立されている.

Figure 1 Appearance and diagram of“ SMD3400”.

3.実験方法

本実験はSMD3400 で,ガラス基板上にCu 薄膜を約350 nm,ITO 薄膜を約40 nm の膜厚で形成し,各々について膜厚分布,Rs 分布等の各種単膜性能を検証した.膜厚は段差測定器であるDektak3,Sheet 抵抗(Rs)をNAPSON 製の四探針法測定器,Cu 薄膜の反射率及びITO 薄膜の透過率は島津製作所製のSolidSpec 3700,膜応力は東朋テクノロジー製のFLX Scan を使用し円板法によって測定した.

文 献
1) M.Matsudai: ULVAC Technical Journal, 43(1995)1.
2) Y. Oishi, M. Kobayashi, T. Tatsunori, M. Arai, J. Kiyota, T. Komatsu, S. Ishibashi, K. Saitou, S. Satou, M. Matsudai: ULVAC Technical Journal, 64(2006) p.23-27.
3) 新井真:応用物理学会,2010 年春季第57 回応用物理学関係連合講演会,17p-TN-3.
4) S. Ishibashi, Y. Higuchi, Y. Ota and K. Nakamura: J. Vac. Sci Technology., A8(3)(1990)1399-1403.

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