凍結真空乾燥とは?

真空ひばりの真空教室 Vol. 12

はじめまして! 真空(まそら)ひばりです。
この教室で皆さんに「真空」のことをいろいろレクチャーしていきます。よろしくネ♪

水分を凍らせて低圧で昇華させる凍結真空乾燥とは?

真空ひばり(まそらひばり)
真空教室の講師を務める27歳。リゾットとおしるこにはまっている。

私はリゾットやおしることかが好きですが、お湯を注ぐだけで簡単に食べられるフリーズドライ食品が私たちの食事に広がりを見せています。今回はそんな食品や、薬品、医療分野などで活躍する凍結真空乾燥のお話です。

水分を含んだ物質から水分を蒸発させて取り除くことを乾燥といいますが、この水分を凍らせて乾燥することを凍結乾燥といいます。そう、私たちの国では、昔から豆腐を寒中に屋外で凍らせた後に乾燥させた凍り豆腐(高野豆腐)という食品があるのを知っているでしょ。あれは大気圧で凍結乾燥が用いられている例です。

水は、大気圧では100℃で沸騰して盛んに蒸発しますが、真空にするとこの沸騰する温度は下がります。そして、610Paより低い圧力では、水は液体でなく固体と気体でしか存在できなくなってしまいます。

こうした性質を利用したのが「凍結真空乾燥」です。この凍結真空乾燥という方法では、真空中で凍った状態のまま水分を蒸発(昇華)させることができるんです。

加熱しないために変質を防止でき

凍結真空乾燥は、加熱せずに低温のまま乾燥できるため、こんなメリットがあります。

①熱による色の変化や、成分の変化など変性を防ぐ。
②水分を極めて少なくすることで腐敗しにくく長期間保存できる。
③形状が凍結時のままの状態で維持できる。
④乾燥後の形状がスポンジ(多孔質)状となって、水やお湯を加えれば、短時間で元の状態に戻すことが可能。

どうですか、すごいでしょ。

凍結真空乾燥は、あらかじめ対象物を-40℃程度に凍結させて、真空容器を4~100Pa程度まで真空排気を行い、その後で約30~60℃程度加熱して乾燥させます。だから保存性や流通性にも優れているし、水やお湯を注ぐだけで元の食品に戻る利便性から、食品や医療品には凍結真空乾燥が、多く用いられるようになっているんです。

また、これとは別に「真空発泡」という方法があって、こちらはチョコレートの製造などに利用されています。あらかじめ細かい気泡を混ぜて溶かしたチョコレートを、減圧して真空容器に入れると、中の気泡が膨らんでスポンジ状になります。一口食べれば口の中でふわっと溶ける不思議な食感が受けて1980年代に流行したんですって。で、探してみたら復活していてまだそんなチョコレートがありました。エアインチョコレートで探してみてね。

凍結真空乾燥の仕組み

 

用語解説

昇華
固体から液体を経ずに直接に気化して気体になる現象と、その逆に気体から直接に固定になる現象の両方をいう。

凍結真空乾燥装置に興味がある方はこちら
https://www.ulvac.co.jp/products/freeze_drying_vacuum_drying_system/index.html

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