ULVAC - Think Beyond Vacuum
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医療安全の向上 電撃リスクゼロを目指して

「ライフイノベーションアワード2015(AOMORI)」受賞 アルバック東北㈱は、青森県より「ライフイノベーションアワード2015(AOMORI)」を受賞した。 「ライフイノベーションアワード」は、青森県のライフ(医療・健康・福祉)分野における産業創出に貢献し、革新的(イノベーティブ)かつ独創的(クリエイティブ)、挑戦的(チャレンジング)な取り組みについて表彰するもので、受賞対象は、「医工連携」「サービス」「プロダクト」の3部門からなる。アルバック東北は「医工連携」部門での受賞となった。 受賞理由 受賞式でスピーチするアルバック東北㈱社長 加藤 丈夫 地元医療機関と連携し医療安全の向上に資する周辺機器等の開発・改良製造に力を入れ、医工連携の推進に努めている。主な開発製品は3P電源ケーブルを容易な方法で高度な測定ができる携帯型電源ケーブルチェッカー、酸素流量計の精度を効率的に定期点検できる酸素流量計チェッカーなど。 携帯型電源ケーブルチェッカーについて 豊富なカラーバリエーション(全6色展開) 電源線と保護接地線の3本を同時に簡単に測定でき、しかも保護接地線はJIS 規格で求められている低抵抗が測定できるという特徴を持っている。近年、手術室や集中治療室(ICU)などの医療現場では、さまざまな高性能電子医療機器が活躍している。しかし、通常の汎用計測器では確認できないほどの微弱な漏電がそれらの機器から発生した場合でも、「ミクロショック」と呼ばれる電撃が患者を襲う。このミクロショックによる万一のリスクを回避するために、「JIS 医用安全規格」において、医療機器の保護接地抵抗規格(0.1 ~0.2Ω)が定められている。規格が定めている抵抗値は低く汎用計測器では測定が難しいため、電気技術者が専用測定機器を用いて測定している。アルバック東北は、2~3年ほど前に青森県が進める医工連携事業化推進策をきっかけとして、地元の八戸市民病院などの要望に応えるため、約2 年の歳月を費やし、簡易な方法で測定できる携帯型電源ケーブルチェッカーの開発に成功した。この携帯型電源ケーブルチェッカーは、特別な知識や専門機器を用いることなく、医療機器電源コードの3P プラグを差し込むだけでJIS 安全規格の抵抗値をすばやく判断できる。この受賞を足掛かりとして新規事業分野への更なる前進を進めていく。 お問い合わせ先アルバック東北㈱TEL:0178-28-7839URL:https://www.ulvac-tohoku.com/business/medical-device-checker/power-cable-checker/
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省エネ・創エネを支えるアルバックの真空技術

エネルギー問題は、地球規模の社会課題。省エネ・創エネにもアルバックの真空技術が活かされています。 「省エネ」に貢献するモノと聞いて、どんなモノを思い浮かべますか?高輝度LEDランプや高効率モータによる節電などはイメージし易いですね。自動車の燃費改善には、軽量化が重要です。ガソリンタンクや窓ガラスの樹脂化や、ハイブリッドカーや電気自動車ならモータやバッテリーの軽量化も始まっています。実物を目にすることは、なかなかありませんが、パワーデバイスは、電力を効率よく制御するのに欠かせません。「創エネ」に貢献するものはどうでしょう?クリーンエネルギーなら、太陽電池や風力発電でしょうか。これらに共通しているのは?そうです、これらの「省エネ・創エネ」を実現する製品の製造過程で、真空技術が欠かせないのです。 「省エネや創エネにつながる製品」をつくる過程にアルバックの製造装置が活躍 2つの視点で「省エネ・創エネ」の実現を図ります。大電流を制御するために必要なパワーデバイスや、長寿命、高輝度のLEDの製造には真空装置が不可欠です。また、創エネの代表格である太陽電池の製造過程にも、多くの真空装置が使われています。今後も、より省エネ・創エネ性能が高い製品を生み出すために、アルバックの真空装置の活躍の場はますます広がっていきます。より安心、安全な暮らしの実現に向けて、省エネ・創エネ分野も開発の重要領域に含め、未来に向けた開発にも力を入れています。お客様の工場での省エネに貢献アルバックは、お客様の工場で使用するエネルギーを節約する成膜装置や、排気装置を供給することで、地球環境への負荷を減らし、省エネに貢献しています。 顧客工場の省エネ・創エネに貢献するアルバックの製造装置 アルバックの真空装置は、液晶や有機ELといったスマートフォンや大型TVの高精細ディスプレイや半導体・電子部品の製造工程や、食品や医薬品の凍結乾燥、金属の溶解など幅広い分野で数多く使われています。お客様の工場での省エネを実現するため、真空装置自体の省エネ化を進めています。 太陽電池 再生可能エネルギーの代表格として、メガソーラーのみならず広く一般家庭へも普及しています。より高い発電性能を達成するため、さまざまな方法で変換効率向上の取り組みが行われています。 アルバックは、1980 年代の太陽電池黎明期から現在に至るまで、さまざまなかたちで太陽電池の製造にかかわってきました。引き続き真空成膜装置やイオン注入装置で、太陽電池の高性能化に貢献してまいります。 ● インライン式スパッタリング装置 SCHシリーズ● インライン式プラズマCVD装置 CCVシリーズ● インライン式Cat-CVD装置 CIVシリーズ● イオン注入装置 PVIシリーズ 太陽電池関連の装置はこちら 高輝度LED オフィスや家庭では、省エネの代表として、蛍光灯や白熱灯からの置き換えが進んできました。また、広告などの屋外表示や、自動車のヘッドライトなど、LED の活用範囲は、ますます拡大しています。 アルバックは、真空蒸着やスパッタリングといった成膜装置やエッチング装置、プラズマCVD 装置など従来型から高輝度タイプまで、各種LED の製造工程に貢献してまいります。 ● ドライエッチング装置 NEシリーズ● スパッタリング装置 SIVシリーズ● 蒸着装置 eiシリーズ 高輝度LED関連の装置はこちら 次世代自動車 環境にやさしいハイブリッドカーやEV(電気自動車)を多く見かけるようになってきましたが、燃費改善など次世代自動車への取り組みはまだまだ続きます。その一つが軽量化です。ポリカーボネイト(PC)樹脂をサイドウインドウやリアウインドウに用いることにより、大幅な軽量化が期待されます。 アルバックは、樹脂グレージング表面に硬化膜を形成し、耐摩耗性を向上させるプラズマCVD装置を提供することにより、次世代自動車の軽量化、燃費低減に貢献してまいります。 ● PC樹脂グレージング量産用プラズマCVD装置 ULGLAZEシリーズ● 希土類磁石量産装置 Magriseシリーズ パワーデバイス 家電製品や電車、自動車などに電力を供給する際には、それぞれに合った電圧、周波数に変換する必要がありますが、その制御を行うのがパワーデバイスです。より大きな電圧を扱ったり、変換の際のエネルギーロスを最小化したり、変換のスピードを速くしたりするため、従来の素材であるSiからSiC、GaNといった新たな素材を用いたものも製品化されています。 アルバックは、真空成膜装置やエッチング装置、イオン注入装置などで、従来のSi素材のみならず、新たな素材でのパワーデバイス製造工程に貢献してまいります。 ● スパッタリング装置 SRHシリーズ● SiC用イオン注入装置 IHシリーズ● エッチング装置 NEシリーズ パワーデバイス関連の装置はこちら 顧客工場の省エネ・創エネに貢献するアルバックのコンポーネント ドライポンプ省電力化アタッチメント ECO-SHOCK ES4A ドライ真空ポンプは、真空を利用する生産ラインの中でも消費電力が大きい機器。これまで、真空装置の仕込み取り出し室を頻繁に排気する用途やシールガスを多く使用するドライ真空ポンプの消費電力を削減することは困難でした。「ECO-SHOCK ES4A」はこの用途でも大幅な省エネを実現。既設のドライ真空ポンプにも後からの取り付けが可能です。 ECO-SHOCK ES4Aの詳細はこちら 凍結乾燥工程モニターシステム 凍結乾燥(フリーズドライ)とは、水溶液や食品を凍結させ圧力をその凍結温度の飽和蒸気圧以下にすることで水分を昇華させる乾燥方法。食品のほか、医薬品の製造にも多く使われています。これまで、対象物に温度センサーを挿入して温度測定し、人が乾燥終点を判断するのが一般的でしたが、未乾燥部分が残るのを嫌がり、十分すぎる余裕時間を設定し、無駄な時間や余分なエネルギーロスが発生していました。「DRYMONI」により、乾燥工程の「見える化」が実現。品質管理の厳しい医薬品業界でも認められ、アルバックの凍結真空乾燥装置に装備しました。既設の旧型装置にも後から取り付けできるスタンドアロンタイプも取り揃えています。 凍結真空乾燥装置のラインアップはこちら
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医療・医薬品の世界のアルバック

医療・医薬品・ヘルスケアにもアルバック 「アルバックは何の会社ですか?」と聞かれることがしばしばあります。しかし、「真空装置メーカーです」とお答えしてすぐに理解されることは実に稀で、更に「真空技術の研究・応用で世の中に貢献する会社です」と言葉を重ねると一層、相手を混乱させてしまうのはよくあることです。一方で、「どこに使用されているのですか?」と問われると、今度はこちらが困惑してしまいます。何故なら、「あらゆるところに真空技術は使用されています」が正直かつ正確な答えだからです。その「あらゆるところ」の一つには勿論、医療業界、ヘルスケア業界、とりわけ製剤業界が挙げられます。 薬を製造する機械も信頼できますか? 一般的に、薬は開発から製品化されるまでに約十年以上かかると言われています。私たちの身体に直接大きな影響を与えるのですから、様々な研究や試験を経ていないと、安心して薬を服用できません。より正確な試験データを測定できたり、実験に必要な素材がすぐに手に入る高性能な機器が、日々開発者の方々の研究をサポートしているのです。 加えると、たとえ新薬が世の中に出ても、品質を保ったまま多くの人にお届けするのは容易ではありません。不純物のない高純度を維持した薬を大量生産するのは、製剤の機械です。新薬開発過程は勿論のこと、実は薬の製造機械にも私たちの健康は委ねられています。 アルバック装置の真空技術プロフェッショナル性 冒頭の通り、アルバックはグループ全体で製剤業界へ深く関わっています。真空の応用技術として、温度コントロールがあり、微妙な温度コントロールをも得意とするアルバックグループは薬の研究段階から製剤まで、あらゆる場面でサポートしています。 研究・開発・分析センター 薬剤の研究や開発では研究者の方々の多大な時間と労力が費やされています。それが少しでも短縮されたら、彼らのお手伝いだけでなく、患者さまにも逸早く薬をお届けできるのではないでしょうか。 アルバックではその一端として、研究機関では欠かせない液体窒素ジェネレーターや、微量精密攪拌機をご使用いただいております。 製剤現場 製剤では一般的に、原薬の反応、蒸留、混合等を経て長期保存する為、乾燥や液充填の工程へと進みます。普段、皆さまのお手元に届く乾燥状態になる段階です。例えば、薬で必要な成分だけが高純度で抽出されたり、より患者さまが飲みやすい形状になれば「良薬は口に苦し」なんてことわざは忘れ去られてしまうかもしれません。 そんな近い未来を叶える為に、アルバックは60年以上にわたって培われた真空技術で高性能な真空蒸留装置や、凍結真空乾燥装置をご提供しています。 飽くなき真空技術の応用研究 既に医療・医薬品、そしてヘルスケアの世界で我々アルバックが60年以上にわたって培った真空技術は浸透しています。真空技術応用のプロフェッショナルとして、皆さまの健康の一端をあずかる真空装置をお届けしています。 しかし、その研究と開発はまだ終わってはおりません。アルバックは今この時も挑戦を続け、縁の下の力持ちとして見えないところで、真空技術でまた新しい何かの実現を目指しています。
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ひげ剃りの刃にも利用されている真空内の硬質皮膜処理 Vol.22

真空ひばりの真空教室 Vol.22 はじめまして! 真空(まそら)ひばりです。この教室で皆さんに「真空」のことをいろいろレクチャーしていきます。よろしくネ♪ ひげ剃りの刃の表面コーティングにも利用されている真空内での硬質皮膜処理 真空技術に支えられているものがたくさんあることは、これまでのお話で理解してもらえていると思いますが、今回は真空内での硬質皮膜処理のお話です。ホームセンターの工具売り場で売っているドリルなどの切削工具の中で、刃の部分に金色のコーティングが施されているものを見たことはありますか?このドリルの刃には、表面にTiN(窒化チタン)などの硬質皮膜が数ミクロンの厚さでコーティングされています。TiN膜は、硬くて耐摩擦性に優れた薄膜で、金属との密着性もよく、切削工具表面処理コーティングには適しています。 この硬質皮膜が施された工具は、無処理の工具に比べて寿命が数倍長くなるという特徴をもっているんです。硬質皮膜としては、TiNの他にもTiC(炭化チタン)、TiAIN(窒化チタンアルミ)などがあって、それぞれ硬度、摩擦係数、耐熱性の違いに応じて金型、自動車用部品、いろいろな装飾品などの表面処理コーティングに使われています。 そしてこれらの硬質皮膜の成膜には、イオンメッキとも呼ばれるイオンプレーティングによるものが多く用いられていますが、その他には、スパッタリング、CVD法などの手法も使ってコーティングされています。 ダイヤモンドのように堅いDLC(ダイヤモンドライクカーボン) もう一つ別のコーティングのお話をします。私はもちろん使うことはないけど、ひげ剃りの刃は、切れ味を良くするために、すごく薄くなっていますが、薄くなった分の耐久性を上げるために、刃先にDLC(ダイヤモンドライクカーボン)がコーティングされているものがあります。 DLCは文字通りダイヤモンドのようなカーボンで、硬くて耐久性がよくて、表面がとても滑らかで潤滑性があります。ひげ剃りの刃は、ステンレス製で刃自体の切れ味はかなり鋭いので、そのままだと肌まで削ってしまいます。そこで刃先にDLCをコーティングすることで、深剃りしても肌にはやさしいひげ剃りができるんですって。 しかもDLCは金属ではないため、金属アレルギーのある人でも使用できるという特徴もあります。このDLCの成膜方法は、イオンプレーティング、スパッタリング、CVD法など、さまざまで、用途に応じて使い分けされています。 用語解説熱処理金属、半導体、セラミックスなどに必要な性質を与えるために、固体の状態で行う加熱と冷却の総称。基本的には焼き入れと焼きなましの2種類に分類される。 アルバックホームページ
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ICカードやRFIDタグは真空薄膜技術でつくられる Vol.21

真空ひばりの真空教室 Vol.21 はじめまして! 真空(まそら)ひばりです。この教室で皆さんに「真空」のことをいろいろレクチャーしていきます。よろしくネ♪ ICカードやRFIDタグは真空薄膜技術でつくられる クレジットカードや銀行のATMカードなどに代表されるICカード。最近は電車を乗る際に使う交通系のカードもICカードですから、誰でも日々持ち歩くものになっています。今回は、そのICカードや商品タグなどに使われるRFIDタグにも、真空薄膜技術が使用されているというお話です。 ICカードとは、プラスチック板にICチップを組み込んだカードのことです。また、ICとは、集積回路(Integrated Circuits)の略で、複雑な電気回路を顕微鏡でしか見えないくらいの小さな世界に閉じ込めています。いっぽうRFIDタグは、超小型のマイクロチップと小型のアンテナによって構成されていて、マイクロチップに組み込まれた情報を無線で発信します。ICカードのように「カード」という形状にとらわれず、ラベルなどのいろいろな形に変えて使われています。 電波は微弱で到達範囲も短距離ですが、この技術は現在スーパーマーケットやコンビニエンスストアで見かけるバーコードに代わる次世代技術として期待されているんです。ICカードやRFIDタグに埋め込まれているIC(マイクロチップ)は、これまでここでご紹介したさまざまな機器に用いられていたデバイス製造と同じように、真空を利用した薄膜加工技術を使って製造されています。 ICカードやRFIDタグは、記憶容量が多い ICカードやRFIDタグが盛んに用いられている背景には、個人認証とセキュリティの問題があるんです。クレジットカードなどでは、暗証番号さえ知ってしまえば誰でも使うことができますが、ICチップを採用すると、より個人認証能力が高まって、安全性がアップします。そのためには、カードを使用することができるための、持ち主本人だけの情報の必要性が重要になります。その場合、本人だけの特徴、たとえば諮問や顔写真、瞳の虹彩などをカードの中に織り込むために、ICカードは重要に役割を果たします。まるでスパイ映画のようなことが、現実になってきたっていうことね。 用語解説 集積回路 通常はICと略され、2つ以上の回路素子のすべてが、一つの基板上、または基板内に組み込まれている回路のこと。 アルバックホームページ
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加速度センサ内のデバイスはすべて真空中でつくられる Vol.20

真空ひばりの真空教室 Vol.20 はじめまして! 真空(まそら)ひばりです。この教室で皆さんに「真空」のことをいろいろレクチャーしていきます。よろしくネ♪ 加速度センサ内のデバイスはすべて真空中でつくられる 科学実験や地震計などで加速度を計測する加速度センサは、ゲームのコントローラや携帯電話の歩数計など私たちの身近なものにも使われていますが、「MEMS(メムス:Micro Electro Mechanical System)」と呼ばれる技術を使ったセンサの代表です。加速度って速度の時間変化ですが、それを検出する方式には、圧電型や静電容量型、ピエゾ抵抗型などがあります。 このうち圧電型は、チタン酸バリウムなどの結晶にある向きの力をかけると、その力に比例して起電力が発生する性質をもちます。このような結晶体に錘(重り)を押し付けておくと、加速度運動によって錘が圧力を与えます。この圧力の程度に応じて起電力が発生するため、その大きさから加速度がわかるというしくみになっています。このチタン酸バリウムの薄膜は、もちろん真空中でつけられます。 真空技術を応用して加速度センサは小型化した 静電容量型では、錘を乗せた板(シリコン基板)に梁(ビーム)を吊るし、その下には金属電極を並べておきます。つまり錘を乗せてビームで支えられたシリコン板と金属電極とがコンデンサを作る形となります。コンデンサって理科の授業で実験したのを覚えていますか? そのコンデンサの静電容量は、電極の間隔に反比例するため、加速度運動によって、錘を支えるビームがたわむと静電容量が変化します。そのとき、金属電極に出入りする電流を測定することで静電容量の変化がわかり、そこから加速度の変化を知ることができます。 いっぽうシリコン基板にイオン注入機でホウ素を打ち込んでおくと、その基板に力が加わったときに、抵抗値が変化するようになります。これをピエゾ抵抗と呼び、その抵抗値の増減から加速度の大きさと方向がわかります。MEMSという半導体の微細加工を応用した技術を使うことで、加速度センサは驚くほど小型になりました。こんなことからも、真空技術は私たちの生活に欠かすことができないものであることが、よくわかると思います。 用語解説 静電容量 コンデンサなどが、電荷を蓄える能力を表す量のこと。コンデンサの極板間に電圧をかけると。両極板上に電圧に比例した電荷が蓄えられる。 アルバックホームページ
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様々な真空技術が利用されているハイブリッドカー Vol.19

真空ひばりの真空教室 Vol.19 はじめまして! 真空(まそら)ひばりです。この教室で皆さんに「真空」のことをいろいろレクチャーしていきます。よろしくネ♪ 最先端の真空技術が利用されているハイブリッドカー 今回は、複数の動力源を持つ自動車である「ハイブリッドカー」についてのお話です。自動車のメカニズムは、エンジン部分はもちろんのこと、安全・信頼性のためのさまざまな高機能部品をはじめ、エレクトロニクス技術の集大成で成り立っていることは、みんなよく知っていると思いますが、ハイブリッドカーには、さらに高機能な電子部品が多数必要なんです。 そのため1台あたりの半導体使用量を換算すると、6インチサイズのウエハ、ほぼ1枚分を消費し、これはデスクトップパソコンの8倍の使用量と言われています。こうした重要な役割を担う電子部品製造に真空技術は欠かせないものとなっています。 ほとんどのユニットで利用されている真空技術 ハイブリッドカーは、エンジンや回生ブレーキ、発電機、モーター、パワーコントロールユニット、電圧昇圧回路、バッテリーなどのユニットで構成されていますが、ほとんどのユニットで真空技術が利用されています。 たとえば、モーターには、軽量化・高出力化を実現するネオジウム磁石が使われていますが、その製造は、真空溶解炉や連続式水素処理炉、真空焼結炉などで行われます。また、パワーコントロールユニット内で50μmという極薄ウエハに複合機能を盛り込んだパワーICは、高温・割れ・たわみを解決した極薄ウエハ専用の薄膜装置でスパッタリングやイオン注入によってつくられています。 それから高電圧・高出力対応のコンデンサは、ハイブリッドカーに不可欠ですが、このフィルムコンデンサは、巻取式真空蒸着装置で製造されています。さらにハイブリッドカーのバッテリーには、エネルギー密度が大きく、高電圧・高出力のニッケル水素二次電池が利用されますが、その負極に使われる水素吸蔵合金は、真空熱処理炉で加工されているんです。このようにハイブリッドカーの部品製造には、最先端の真空技術が利用され、真空技術なくしてハイブリッドカーは存在しないといえます。 用語解説 回生ブレーキ 電動機を発電機として利用することによって、運動エネルギーを電気エネルギーに変換して発電することができるブレーキ。 アルバックホームページ
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CCDなどデジカメの心臓部は薄膜技術の集大成 Vol.18

真空ひばりの真空教室 Vol.18 はじめまして! 真空(まそら)ひばりです。この教室で皆さんに「真空」のことをいろいろレクチャーしていきます。よろしくネ♪ CCDなどデジカメの心臓部は薄膜技術の集大成 身近なデジタル製品の中で、静止画を撮影する機器がデジタルスチールカメラ、動画は撮影する機器がデジタルビデオカメラです。どちらも人間の視覚と同じ働きをもつ光学部品と電子部品からつくられています。光(画像)が、人間の水晶体に相当するレンズを通して、同じように人間の網膜に相当する受光素子(CCD、イメージセンサ)からの信号を、脳に相当する画像プロセッサで処理して、0と1のデジタルデータとしてメディアに記録しています。 光学部品や電子部品の多くは、真空薄膜技術でつくられている デジタルカメラの性能を決めるものとして、受光素子の画素数があり、画素数が多くなれば画質が鮮明になっていきます。ここでは画像をフィルタに通して、薄型テレビのところでもお話した光の3原色のR(赤)、G(緑)、B(青)ごとに、各々の光の強弱を受光素子で感じ取って信号に変えています。画素数を上げて画質を鮮明にするためには、個々の光学部品、電子部品の高機能化、小型化が必要となります。 そして、こうしたデジタルカメラの光学部品、電子部品の製造には、真空薄膜技術が切っても切れないものとなっているんです。デジタルカメラのCCDやイメージセンサ、画像処理エンジンとなるLSIなどのデバイスは、真空中でのスパッタリングやCVDを利用して成膜した後で、フォトマスクによる感光、エッチング、レジストはく離を繰り返して製造されます。 カメラのレンズには、反射防止膜がついていますが、これも真空蒸着でつくっています。このようにデジタルカメラやデジタルビデオカメラの中には、たくさんの真空技術を利用したデバイスが詰め込まれているんです。 用語解説CCD半導体の上につくられた電極に、次々と電圧をかけていくことによって、半導体中のキャリアの量を保ったまま移動させていく撮像素子。 アルバックホームページ
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CD・DVDの反射膜 Vol.17

真空ひばりの真空教室 Vol.17 はじめまして! 真空(まそら)ひばりです。この教室で皆さんに「真空」のことをいろいろレクチャーしていきます。よろしくネ♪ CD・DVDの反射膜も真空薄膜加工技術で成膜 ここでは真空を利用した薄膜加工技術をいろいろご紹介していますが、今回は光を利用して情報を記録するメディアとして代表的なCDとDVDのお話です。どちらも記録・再生が可能なタイプと再生専用のタイプがありますが、その動作原理は基本的に同じで、レーザー光を当てることによって情報を記録し、レーザー光の反射を読み取ることで再生をします。 このレーザー光を安定して反射するためにCDやDVDには、アルミニウムの薄膜が塗布されていて、その成膜には蒸着法、スパッタリング法といった真空薄膜加工技術が用いられているんです。 真空内での薄膜生成は、原子1個分の厚さも可能 DVDは、貼りあわせた2枚の円盤の間にデータを記録したピットと呼ばれる小さなくぼみがらせん状にたくさん配置されています。このピットの表面には、真空内で成膜をされたアルミニウムの薄い膜が付いていて、レーザー光を当てると段差の部分と平坦な部分で反射光に違いが生じます。この変化を読み取って0または1のデジタルデータとして判断して、再生ができるようになります。 このピットの大きさは0.4μm~2.13μmで、その差異を読み取るため、アルミの膜は数千Å(オングストローム:1Å=10-10m)レベルの厚さになっているんです。 ちなみにCDやDVDの膜厚は、数千Åですが、現在の薄膜製造技術では、数Åレベルの薄膜をつけることも可能です。この厚さは、原子1個が並んでいる状態で、スパッタリングで対応できるんです。この場合、スパッタリングのパワーを落とすだけでなくて、基板との距離を離して、しかも材料が入り込む入り口を狭くすることで、ほんのちょっとしか出てこないようにして基板を高速回転させます。こうすると基板には、少しずつ何回かに分けて材料がつき、単原子層がつくられます。ほかにも超高真空にして、るつぼからゆっくり材料を蒸発させて膜をつける方法などが用いられています。 用語解説レーザー低いエネルギー状態にある分子の数より高いエネルギー状態にある分子の数の方が多い物質に、共鳴する光を作用させて、光の増幅を起こさせるための装置。 アルバックホームページ

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