ULVAC - Think Beyond Vacuum
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プラズマと真空中の薄膜生成 Vol. 10

真空ひばりの真空教室 Vol. 10 はじめまして! 真空(まそら)ひばりです。この教室で皆さんに「真空」のことをいろいろレクチャーしていきます。よろしくネ♪ Vol.9のお話の中で、真空をつくる際に「プラズマ放電から発生したイオンで表面をたたく方法」があるという説明をしましたが、今回はその「プラズマ」についてのお話です。 真空を利用して薄膜を生成するときなどには、多くの場合プラズマを発生させます。そのプラズマとは、真空中で放電などによってエネルギーを与えるときに、気体が電離する状態のことです。 プラズマ状態では、原子や分子を構成する電子が、原子核の束縛から離れて正イオンと電子に電離します。 このような気体を電離気体といい、とてもエネルギー状態が高くなっています。プラズマを生成するためには、エネルギーの供給の仕方によって「放電電離」と「熱電離」、「光電離」の3つの方法があります。このうち真空技術で用いられるのは放電電離で、加える電流の種類によって直流放電、高周波放電、マイクロ放電、パルス放電などがあるんですよ。 プラズマのエネルギーで物質をたたく ドイツの物理学者ガイスラーが発明したことでその名が付いた、ガイスラー管というガラス製の放電管の両端に、直流高電圧を加えると、圧力103Pa以下で放電電流、数十mA以下の安定した「グロー放電」という現象が見られます。グロー放電が起こるのは、低圧力の気体の中に高電圧を加えて強い電界をつくると、「絶縁破壊」という現象が生じて火花放電が起こるからなんです。 このプラズマを利用すると、材料の表面に薄い膜を生成することができます。たとえば、ターゲットにマイナスの高電圧をかけると、プラズマのプラスイオンがターゲットに衝突して、そこからターゲット材料を構成する物質が飛び出て、基板に薄い膜として付着させることができるんです。 それからもう一つ、プラズマの中で材料を蒸発させると、蒸気がプラズマの中を通過するときに、一部は電子と衝突してイオン化されます。これを高電圧をかけた基板に引っ張りこむことで、付着性に優れた膜を形成することができます。 プラズマは活性であるため、電子、イオン、励起された原子や分子(ラジカル)などがつくられ、皮膜の生成や加工、金属の溶解など、多くの真空技術分野で利用されています。 用語解説 イオン 中性の原子が、1個または数個の電子を失うか(プラスイオン)、あるいは1個または数個の電子を得て(マイナスイオン)生じる粒子をいう。 励起 原子や分子が外からエネルギーを与えられ、もとのエネルギーの低い安定した状態からエネルギーの高い状態へと移ること。 アルバックホームページ
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幾何学的表面積と真表面積 Vol. 9

真空ひばりの真空教室 Vol. 9 はじめまして! 真空(まそら)ひばりです。この教室で皆さんに「真空」のことをいろいろレクチャーしていきます。よろしくネ♪ 見た目の面積を表す幾何学的表面積に対して表面の粗さを加味した真表面積 Vol.8でお話した固体表面の気体吸着と脱離の現象を利用して、物質に吸着している気体の量を測定することによって、物質の「真表面積」を測ることができます。今回はその真表面積についてのお話です。 具体的には、物質の表面にくっついている気体を脱離させて、その量を測定することによって、本当の表面積の大きさがわかるということ。真表面積は、目で見えている表面積の何倍も大きいというのが一般的です。 真表面積を測る方法はいくつかありますが、最も簡単な方法は、密封した容器の中で、高感度のバネはかりに測りたいサンプルを吊るして、窒素ガスを充填して湿度を一定に保つという方法。そうすると、サンプルには、窒素の気体分子が吸着して次第に重くなって、あるところまでくると、それ以上増えなくなるため、その時点で単分子層が形成されたことがわかります。 このときに圧力を変えながら測定すると、圧力が低いところでは少ししか重くならず、圧力を高くしていくと、あるところで飽和となって、また増えていきます。これらの動きは、材質によって違ってきますが、計算によって単分子層ができたと思われる量を測ることで、真表面積を算出することができます。 幾何学的表面積と真表面積との比を「粗さ係数」と呼び、「幾何学的表面積÷真表面積」で表します 真表面積を知ることで真空を早くつくる 真空装置で真空をつくる場合、物質表面に吸着した気体分子は、あらかじめ極力減らしておく必要があります。そのためにどうするかというと、いったんくっついた気体分子を表面からたたき出してあげればよいわけです。その一番簡単な方法は、装置内の温度を上げることです。これを「ベーキング」と呼び、数十度から数百度の前後の加熱で気体分子は早くでていきます。そういえば料理法で、オーブンで調理することをベーキングと呼びますが加熱処理という意味では一緒です。 他にも、プラズマ放電から発生したイオンで表面をたたくといった方法とか、いろいろあります。どの程度の処理を行うかを判定するためにも、真表面積を知ることは、とても重要なことなんです。 幾何学的表面積と真表面積 用語解説 窒素ガス 大気中の容積の約78%を占める無色無臭の気体。窒素分子解離熱は大きく、常圧で3000℃に熱しても解離は認められず、化学的にきわめて不活性なガスと呼ばれている。 アルバックホームページ
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固体表面で起こる気体吸着と脱離 Vol. 8

真空ひばりの真空教室 Vol. 8 はじめまして! 真空(まそら)ひばりです。この教室で皆さんに「真空」のことをいろいろレクチャーしていきます。よろしくネ♪ 固体の表面では気体吸着と脱離がずっと起こっている Vol.7では、圧力と単分子層形成時間についてお話しましたが、今回は固体表面で起こる気体吸着と脱離、つまり固体の表面で、気体がくっついたり離れたりにしていることについてのお話です。 真空をつくろうとして空間に真空ポンプを排気していくと、気体分子が少なくなっているにもかかわらず、ある値以上に圧力が下がらないという現象が起こります。どこからか気体分子がやってくることがその原因なんです。 この場合、チャンバーと呼ばれる装置などに穴があって、外から侵入してくるというのは問題外ですが、それがないときでも圧力低下はある程度で頭打ちになってしまいます。このとき、気体分子はどこからやってくるのでしょうか。 実はこの分子は、もともと固体の表面に吸着していたものです。空間の気体分子を排出するにつれて、固体表面に吸着している気体分子が次々と脱離を始めて空間に出てくるんです。 材質による吸着量を知ることが大切 真空をつくるときには、どうしても固体表面から気体分子が脱離してくるため、吸着している気体分子の量を考慮することは、真空装置をつくるうえでとても重要になります。なぜかというと、こうした分子が、どれくらい物質表面にくっついているかをある程度見積もらなければならないんです。 物質には、気体分子を吸着するエネルギーの大きいものと小さいものがあって、真空装置をつくるときには、なるべく吸着エネルギーの小さい材料を使う必要があるんです。 それから、排気ポンプの中には、気体分子をポンプの表面にくっつけて排気するタイプのものがあってその場合は分子をくっつけやすく、離れにくい材質を使うなどの工夫も必要です。 ところで、実際の装置で真空をつくるときには、幾何学的な表面積にくっついていると考えられるものより、多くの分子が排出されてきます。どうしてかというと、見た目の表面積と、気体から見た表面積に違いがあるからです。実際には1㎡の物質でも、気体分子レベルでみると無数の凸凹があって、本当の表面積はもっともっと大きくなるんです。これを「真表面積」といってその面積を知っておくことは、さらに重要なポイントになるんですよ。 気体吸着と脱離の関係 用語解説 吸着 気体と固体、液体と固体、気体と液体というように2つの相が接しているとき、気体または液体中の成分が、その接触面で相内部と異なる濃度を示す現象のこと。 アルバックホームページ
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圧力と単分子層の関係とは? Vol. 7

真空ひばりの真空教室 Vol. 7 はじめまして! 真空(まそら)ひばりです。この教室で皆さんに「真空」のことをいろいろレクチャーしていきます。よろしくネ♪ 単分子層形成時間とは、物質の表面を気体分子が覆い尽くす時間のこと Vol.6で紹介した平均自由行程は、実際に測定するわけではありませんが、少なくとも計算で理論値を出すことはできます。ところが、今回ご紹介する「単分子層形成時間」は、測定方法を工夫することで、簡単に値を出すことができるんです。 そもそも圧力とは、気体分子が壁などにぶつかって跳ね返るときに相手に「撃力」という力を与えることで発生します。これってボールを壁にぶつけて跳ね返ったときに、壁が力を受けるのと同じことで、気体分子が壁にぶつかって跳ね返るときに壁に与えるトータルな力が圧力ということになります。 壁にぶつかった気体分子は、最初の一層で壁にくっつくものが存在しますが、実際にはくっついたり離れたりしています。でも、ある程度の気体分子は、常に表面に存在しているんです。 単分子層形成時間が長いほど利用範囲は広がる 気体分子の大きさはわかっているため、表面に何もない状態から気体分子が並んで覆い尽くしたとすると、その時間は計算することができます。 これを計算すると、大気圧の105Paでは、3×10-9秒と、とても短い時間で表面は気体分子に覆われます。さらにもっと圧力を下げて、蒸着などで利用する10-2Paや10-3Paになると0.3秒ほどで表面は気体分子に覆われます。これが10-6Paになると、5分間ほどかかり、10-8Paになると、表面が気体分子で覆われつくすまでに、なんと8時間ほどかかることになります。 この8時間くらいの時間があると、吸着分子で覆われる前の固体表面の真の姿を見ることができます。なので、表面の分析などを行うときには、こうした低い圧力で表面がガスで覆われていない表面を出す必要があるんです。 他に、物質の表面に膜をつくるときなども、こういう低い圧力の状態で行うと、気体分子が入らないきれいな膜がつくれます。とくにゆっくりと膜をつくると、きれいな単結晶膜を得ることができるんです。 用語解説 単分子層分子が液体または固体の表面や界面につくる分子の直径程度の層を単分子層、または単分子膜という。 アルバックホームページ
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"ソフト"コミュニケーションで世界を結ぶ

世代や国境を越えて人々に潤いある笑顔と癒しの食文化を提供日世株式会社(本社 大阪府茨木市) 突然ですが、甘いものはお好きですか? たとえばソフトクリームのあるシーンとは、どんな場面でしょうか? 日世株式会社 執行役員 茨田貢司氏 今年70周年を迎えたソフトクリーム総合メーカーの日世株式会社(以下、日世)は、アンケート調査を行い「そこには必ず笑顔がうまれる」ということをあらためて認識したとのこと。創業時からの「戦後の日本を元気にしたい、日本人に新しい文化を、安らぎを送りたい、作りたてのソフトクリームを手渡しすることによってお客様とのコミュニケーションがとれる」という想いを持ち続けています。今回の「暮らしとアルバック」は、東京支店(東京都品川区)にお邪魔し、執行役員の茨田貢司氏にお話を伺いました。 *本稿では製品名等の登録商標の表記は割愛しています。(※この記事は、2017年7月発行の 広報誌No.67に掲載されたもので、内容は取材時のものです。) 進化する日世 ......デザート・フードの世界をより豊かに、より広く...... ソフトクリームを中心に、豊かなデザート・フードの世界を創造する日世。美味しさが、日本と世界をひとつにするという理念から、技術や情報を広く海外に求め、時代にふさわしい味を提案し続けてきました。その取り組みは、新たな商品を生むとともに、今日も広大なフィールドを開拓しています。 「作りたて」が重要ソフトクリームの意外なルーツコーンはワッフルが始まり 「NISSEI.OVEN.FACTORY」ブランドのコーン「チュイル」 そもそも「ソフトクリーム」は日世創業者の田中穣治氏が命名した和製英語です。英語で正確には「Soft serve icecream」というそうです。中国にあったミルクシャーベットの製法が、シルクロードを通ってヨーロッパに伝わり、アメリカへと渡りました。現在のような姿になったのには、このような逸話があります。1904年アメリカ・セントルイス万国博会場でアイスクリーム屋とワッフル屋が隣り合わせで出展したときのこと。当時は紙皿に乗せて売られていましたが、猛暑で人気となり紙皿の在庫がなくなってしまいました。そこで隣の店のワッフルを円錐(コーン)状に巻いて使い、これが定着しました。コーンはワッフルが始まりなのですね。そんな「アイスクリームの作りたてを提供したい」という想いと、冷凍技術の発展により、アメリカで「オートマティック・ソフト・サーブマシン」がうまれました。ソフトクリームは、フリーザーとも呼ばれる製造機の中で材料が撹拌され空気を含むので、口当りが滑らかになります。ソフトクリームの製品温度がマイナス5℃程度なのに対し、アイスクリームは柔らかいクリーム状のものをマイナス30℃以下で急速に固めており、お店ではマイナス18℃以下で売られています。ソフトクリームは「出来たてかどうか」が、冷やし固めたアイスクリームと違う点なのです。 1951年 日本に初めてソフトクリームを紹介7月3日は「ソフトクリームの日」 1947年に日系二世の田中穣治氏が「株式会社二世商会」を設立し、後に現在の日世となりました。当時、米兵からソフトクリームの存在を知り、日本に広めたいとアメリカからフリーザーを10台購入しました。1951年7月3日に神宮外苑で開催されたアメリカ独立記念イベントでソフトクリームが初めて紹介され、爆発的人気となりました。デパートや喫茶店で販売を開始し、当時はかけそば1杯15円に対しソフトクリームはなんと50円!かなりの高級スイーツですね。1954年日本で公開された映画「ローマの休日」でヒロインのオードリー・ヘップバーンがスペイン広場でジェラートを食べるシーンの影響もあり第一次ソフトクリームブームが到来しました。はじめはコーンを輸入していましたが、大阪工場を開設し自社生産を始めます。1963年にはフリーザーも国産化し、材料となるソフトクリームミックスの生産を開始しました。さらに第二次ソフトクリームブームの到来となったのが、1970年大阪万国博覧会での大ヒットです。1990年には、初めて日本にソフトクリームが紹介されたことを記念して、7月3日が「ソフトクリームの日」に制定されました。 ソフトクリームが出来るまでフリーザーやコーンにアルバックの技術が活躍 図1 ソフトクリームフリーザーのしくみ ソフトクリームは、注文を受けてから、フリーザーからコーンカップなどへ直接盛りつけ、出来たてを食べることができます。ソフトクリームが作られるフリーザーの原理は次の通りです(図1)。タンクに原料となるミックスを入れ、それを冷やすためコンプレッサーで冷媒ガスに圧力をかけてウォーターコンデンサーに通し、冷媒ガスを気体から液体に変えます。液体になった冷媒ガスを一気に噴射して再度、気体に変える時に冷たくなる性質を使い原料撹拌室を冷やします。ミックスは撹拌することで空気を含んで、口当り滑らかな状態でコーンに盛り付けられて完成です。最後は冷媒ガスがコンプレッサーに戻ります。モードを切り替えお店で毎日フリーザーを加熱殺菌するためにもこの冷媒ガスが使われています。冷媒ガスを全密閉型で使用しているのは日世の特長です。またこれら一連のフリーザーの動作はコンピューター制御されています。このようにソフトクリームフリーザーは、「販売機」ではなく「製造機」であり、ソフトクリームを目の前にして笑顔になったお客様の身近な存在でもあるのです。日世ではこのフリーザーも自社で製造しています。フリーザーが日世高槻工場(大阪府)で製造され、洗浄などメンテナンスをする際、この冷媒ガスを充填するというまさにマシンに命を吹き込む工程で、アルバックの真空ポンプが活躍しています。2016年10月に操作性と管理機能を向上させた新世代ソフトクリームフリーザーCIシリーズを開発し販売を開始しました。運転記録(データロギング)が可能なシステムを導入し、衛生管理を強化するHACCP(ハサップ:食品衛生管理システム:危害分析重要管理点)に対応しています。さらに、東松山工場(埼玉県)では、「NISSEI OVEN FACTORY」ブランドのコーン「チュイル」生産設備(成形金型)にも、アルバックの表面処理技術が活かされています。 「特色あるNo.1をめざす」が原点絆を感じる幸福感「Smile Soft Project」 日世は、コーン、ソフトサーブミックス、フリーザー、さらにはトッピング商品など関連アイテムを自社生産し、お店づくりのバックアップまで、トータルに展開しています。ソフトクリーム総合メーカーのトップでありながら、常に挑戦し続けています。ソフトクリームのルーツは海外ですが、バラエティに富んだ味や、コーンの豊富な種類など、特色あるフレーバーにより今や日本オリジナルのものとなっています。「ご当地ソフト」では、観光地など日本全国の名産品を使った味のソフトクリームが豊富にあります。生産地域が特定された国産果実だけを使用した「JAPAN PREMIUM」は、「フルーツそのまま」をコンセプトにしたもので、期間限定で福岡県産イチゴの「あまおう」や宮崎県産マンゴー、岡山県産の白桃、山形県産のラ・フランスなどがあります。日世は国産農産物の消費拡大により食料自給率の向上を実現するための「FOOD ACTION NIPPON」推進パートナーです。また、お客様のソフトクリームに対する価値観を知るため1,000人に意識調査を行ったところ、「みんなが好きな味」「家では食べられない少し特別なもの」「親しい誰かと食べるもの」というイメージがあることが分かりました。そこで日世は「絆を感じる幸福感」をソフトクリームの価値と考え、日本全国に「笑顔の絆」を広げようと「Smile Soft Project ココロもとけあうソフトクリーム」という活動をしています。「キッザニア東京」「キッザニア甲子園」に「ソフトクリームショップ」パビリオンを出展しています。楽しく美味しい体験を通して、こども達に夢のある製品をお届けする喜びを伝えています。直営のパイロットショップを大阪梅田と東京渋谷に展開して、お客様との絆を感じるお店づくりをしています。さらに東日本大震災の復興支援では、「日世ソフトドリームカー」が被災地を訪問し皆さんに心を込めたソフトクリームを食べていただいたり、観光地での無料提供による募金活動を行いました。フルーツ事業でも、加工用として仙台のイチゴを適正価格で仕入れ、利益を生産地に戻す取り組みをしました。またWebサイトではクイズに答えてプレゼントが当たるキャンペーンや、日世商品を使って家庭でも簡単にデザートが作れるレシピを紹介しています。是非ご覧ください。確かにソフトクリームはなくても生きていけるものではありますが、これからも日世は、創業者の「日本を元気にしたい」「日本に新しい文化を伝えたい」「暮らしを豊かに、安らぎを届けたい」という熱い想いを後世にも伝えていきます。自社生産のコーンを「繁忙期でも作りだめしない」という姿勢にもその想いが表れています。独自の技術開発によって安心・安全でより良い商品の提供に努めてソフトクリーム総合メーカーとして世界中に「笑顔の絆」を広げていくことでしょう。 ソフトクリーム総合メーカーの日世株式会社について詳しく知りたい方はこちら アルバックの真空ポンプはこちら
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「平均自由行程」って何だろう? Vol.6

真空ひばりの真空教室 Vol.6 はじめまして! 真空(まそら)ひばりです。この教室で皆さんに「真空」のことをいろいろレクチャーしていきます。よろしくネ♪ 気体分子がどれだけまっすぐ飛べるかを表す「平均自由行程」って何だろう? Vol.5 圧力の差は、空間に存在する気体分子の数「分子密度」でわかるでは分子密度についてのお話をしました。今回は気体中の熱や物質の移動において重要な「平均自由行程」についてお話します。ある閉じられた空間の中には、気体分子が詰まっています。普通の状態では、気体分子はその場にじっとしていることはなくて、熱をもつとあっちこっちへ飛んでいきます。まっすぐ飛んでいったり、隣の分子にぶつかって方向を変えたり、またぶつかって曲がったり、という動きを繰り返します。 こうした動きをする気体分子が、どのくらいの距離をまっすぐ飛べるか、ということを表したものを「平均自由行程」といいます。ただし、実際にはその長さを測るわけではないんです。なぜなら、気体分子は目で見えないから。 そんなわけで、平均自由行程とは、「気体分子運動論」という学問的な取り扱いの中だけでいえる話。理論上の計算値として求められます。簡単に言うと、圧力が低いほど、つまり分子の数が少ないほど気体分子はまっすぐ飛べるので、平均自由行程は長くなるんです。Vol.5で紹介した分子密度は、空間のある部分の数を見ていましたが、平均自由行程はもう少し具体的に、分子の動きそのものを見るため、真空を利用するときにはより現実に近い値として使われます。 真空装置の設計には、平均自由行程の長さを知ることが重要 平均自由行程は、具体的にどのくらいの長さになるんでしょう。通常の大気圧である105Paでの平均自由行程は700Å(オングストローム)=7.0×10-5㎜。短時間の間を考えてみると、分子はほとんど動かず、その場で振動している程度です。これが101Paとなると0.7㎜、10-1Paでは7㎝、10-2Paでは70㎝、10-3Paでは7mとなります。 真空中で物質に膜を付ける蒸着装置などの圧力は、普通10-2Pa~10-3Paを使っています。こうした真空装置の幅や高さはせいぜい1~2mほどで、平均自由行程が70㎝~7mもあれば、るつぼと呼ばれる耐熱性容器を飛び出した分子は、まっすぐ基板に飛んでいくことになります。このように平均自由行程は、実際の真空装置で何を行うかを考えたときに装置自体の設計にもかかわってくる重要な値になるんです。 用語解説 気体分子運動論気体が多数の分子から構成されているという観点に立って、気体の示すいろいろな性質を理解しようとする理論。 圧力と平均自由行程の関係 アルバックホームページ
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圧力の差は、空間に存在する気体分子の数「分子密度」でわかる Vol. 5

真空ひばりの真空教室 Vol. 5 はじめまして! 真空(まそら)ひばりです。この教室で皆さんに「真空」のことをいろいろレクチャーしていきます。よろしくネ♪ 圧力の差は、空間に存在する気体分子の数「分子密度」でわかる 真空の単位って圧力を表す「Pa」が使われているお話を前回しましたが憶えてますか?Vol.4「低真空」から 「極高真空」まで 真空の5つの分類 実際の真空は、こうした圧力からみた場合、かなり低いものになります。 Vol.4でお話した5段階の中の「高真空」に分類される10-3Paと10-5Paでは、力としての違いはほとんどないんです。 なので、圧力としての真空をとらえようとすると無理があって、実際には別のものさしを使って、圧力を置き換えてあげる必要が発生するんですね。それが「分子密度」という考え方なのです。 真空は、閉じた空間の中で大気圧より低い状態のことを言いますが、そこには気体があるので、その分子が一定の体積の中にどのくらいあるかということを分子密度で表すことになります。 この分子密度を利用することで、大気圧に比べて1,000分の1、または10,000分の1というように、測りづらかった圧力の差を、大きな差として認識することができるようになるんです。 差の少ない圧力を差の多い分子数で見る 分子の数で真空を測ると言いましたね!でも、実際に分子の数を数えるということではないんです。そこで、分子密度の計算には、昔から知られている「アボガドロ定数」という定数を利用します。 例えば鉛筆の数を12本で1ダース、12ダースで1グロスと数えるように、化学では分子や原子の物質量を「mol(モル)」という単位で表します。「アボガドロ定数」とは、物質量1molとそれを構成する分子・原子の個数との対応を示す比例定数のことです。 たとえば、空気22.4ℓの中には、6.02×1023の分子が存在することがわかっています。また、大気圧は105Paですから、これによってある圧力下では、どのくらいの分子が存在しているかが求められるんです。 このように分子密度という切り口で真空を見ると、圧力が低い場合に分子の数が少ないということが感覚的にわかってくるんです。なので、力としての差がわかりにくい圧力の世界では、分子の数で見ることで、とても大きな差があることがわかってきます。 真空を利用してさまざまな材料を加工する場合、その表面は常にキレイな状態でなければなりません。そのためになるべく低い圧力にして気体の分子の数を減らしてあげることが重要です。そのときに利用する考え方が「分子密度」だったり、これからの教室でご紹介する「単分子層形成時間」や「平均自由工程」なんです。 用語解説 アボガドロの法則温度、圧力、体積の等しい気体は、種類によらず同数の分子を含むという法則。気体反応の法則を説明するため、1811年にイタリア出身の化学者アメデオ・アボガドロが仮設として提唱した。 アルバックホームページ
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「低真空」から 「極高真空」まで 真空の5つの分類 Vol. 4

真空ひばりの真空教室 Vol. 4 はじめまして! 真空(まそら)ひばりです。この教室で皆さんに「真空」のことをいろいろレクチャーしていきます。よろしくネ♪ 真空は、圧力に応じて「低真空」から「極高真空」まで5段階に分類されている Vol.3では、「真空を表す単位の圧力は、移り変わってきた」というお話をしました。今回はその「圧力」の範囲に応じた分け方についてのお話です。 通常の大気圧は105Paを示しますが、これより低い気圧の場合が「真空状態」ということにされています。現在、技術的につくれる最も低い圧力は「10-12Pa」とも言われていて、ひと言で真空と言っても、なんと104Paから10-12Paまで17桁にも及ぶ範囲に広がっているんです。 JIS(日本産業規格)では、真空を圧力の範囲によって5段階に分類されています。(※2021年9月改正) 低真空(low vacuum)大気圧未満、102Pa以上 中真空(medium vacuum)102Pa未満、10-1Pa以上 高真空(high vacuum)10-1Pa未満、10-6Pa以上 超高真空(ultra high vacuum)10-6Pa未満、10-9Pa以上 極高真空(extremely high vacuum )10-9Pa未満 日本では、1990年代に「極高真空」を得るためのポンプやいろいろな材料、それと得られた圧力を測る計測器の開発が活発に進められました。でも、現在は、先端産業によく使われている圧力領域はほとんど「超高真空」まで。「極高真空」は出番待ちといった状況のようです。 これらの5つの圧力領域ぴったり合うわけではないですが、それぞれの圧力によって使用する排気ポンプ、真空計、材料などは変わります。 それから、作られた真空の残留ガスの成分も圧力領域によって異なることが知られています。JIS(日本工業規格)の「真空を用いた工業製品を作るための規格 JIS Z 8126-1」では、圧力領域と代表的なポンプ、真空計、残留ガス区分が記載されています。 圧力だけでなく、質も重要なポイント 真空について考えるときには、圧力領域だけに目が向きがちですが、実は「質」も重要なポイントなんです。「真空の質」とは、どのような気体が真空装置内に残っているかが関係しています。 たとえば、真空状態にした容器の中で対象物に薄い膜を付ける装置を成膜装置と言いますが、その成膜装置の場合、油などの有機成分が多く含まれた真空装置で成膜した膜は、たとえ成膜前に同じ圧力まで装置を排気したとしても、油が含まれていない成膜装置で成膜した膜に比べて、密着性が極端に悪くなってしまうんです。 そのためにどうするか。油が装置内に紛れ込まないように潤滑油などを使うポンプの使用を控えたり、使用する材料の選択はもちろん、洗浄を注意深く行ったりすることが必要になります。 用語解説 圧力 圧力の強さは(力)÷(面積)の単位で表されます。国際単位系では、1㎡に1N(ニュートン)の力が一様にかかっているときの圧力の強さが単位になる。これをパスカルと呼びPaで表す。
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医療・医薬品の世界のアルバック

医療・医薬品・ヘルスケアにもアルバック 「アルバックは何の会社ですか?」と聞かれることがしばしばあります。しかし、「真空装置メーカーです」とお答えしてすぐに理解されることは実に稀で、更に「真空技術の研究・応用で世の中に貢献する会社です」と言葉を重ねると一層、相手を混乱させてしまうのはよくあることです。一方で、「どこに使用されているのですか?」と問われると、今度はこちらが困惑してしまいます。何故なら、「あらゆるところに真空技術は使用されています」が正直かつ正確な答えだからです。その「あらゆるところ」の一つには勿論、医療業界、ヘルスケア業界、とりわけ製剤業界が挙げられます。 薬を製造する機械も信頼できますか? 一般的に、薬は開発から製品化されるまでに約十年以上かかると言われています。私たちの身体に直接大きな影響を与えるのですから、様々な研究や試験を経ていないと、安心して薬を服用できません。より正確な試験データを測定できたり、実験に必要な素材がすぐに手に入る高性能な機器が、日々開発者の方々の研究をサポートしているのです。 加えると、たとえ新薬が世の中に出ても、品質を保ったまま多くの人にお届けするのは容易ではありません。不純物のない高純度を維持した薬を大量生産するのは、製剤の機械です。新薬開発過程は勿論のこと、実は薬の製造機械にも私たちの健康は委ねられています。 アルバック装置の真空技術プロフェッショナル性 冒頭の通り、アルバックはグループ全体で製剤業界へ深く関わっています。真空の応用技術として、温度コントロールがあり、微妙な温度コントロールをも得意とするアルバックグループは薬の研究段階から製剤まで、あらゆる場面でサポートしています。 研究・開発・分析センター 薬剤の研究や開発では研究者の方々の多大な時間と労力が費やされています。それが少しでも短縮されたら、彼らのお手伝いだけでなく、患者さまにも逸早く薬をお届けできるのではないでしょうか。 アルバックではその一端として、研究機関では欠かせない液体窒素ジェネレーターや、微量精密攪拌機をご使用いただいております。 製剤現場 製剤では一般的に、原薬の反応、蒸留、混合等を経て長期保存する為、乾燥や液充填の工程へと進みます。普段、皆さまのお手元に届く乾燥状態になる段階です。例えば、薬で必要な成分だけが高純度で抽出されたり、より患者さまが飲みやすい形状になれば「良薬は口に苦し」なんてことわざは忘れ去られてしまうかもしれません。 そんな近い未来を叶える為に、アルバックは60年以上にわたって培われた真空技術で高性能な真空蒸留装置や、凍結真空乾燥装置をご提供しています。 飽くなき真空技術の応用研究 既に医療・医薬品、そしてヘルスケアの世界で我々アルバックが60年以上にわたって培った真空技術は浸透しています。真空技術応用のプロフェッショナルとして、皆さまの健康の一端をあずかる真空装置をお届けしています。 しかし、その研究と開発はまだ終わってはおりません。アルバックは今この時も挑戦を続け、縁の下の力持ちとして見えないところで、真空技術でまた新しい何かの実現を目指しています。

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