ULVAC TAIWAN INC.

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アルバックの台湾拠点としてさらなる市場拡大を狙う

ULVAC TAIWAN INC.(以下UTI、董事長:本吉 光(㈱アルバック 取締役専務執行役員)、董事総経理:蔡 有哲)は、アルバックの台湾における拠点として、延べ1000 台を超えるULVAC 製装置を納入し、台湾の電子産業界を支えてきた。近年、台湾におけるものづくりビジネスが以前と比べ減少している中、サービスの強化、ユニークな研究開発・市場開発に積極的に取り組んでいる。今回の「拠点巡り」では、UTI 董事総経理の蔡 有哲、副総経理の呉 東嶸に話を聞いた。

はじめに

UTI Director

左 董事総経理 蔡 有哲 右 副総経理 呉 東嶸

UTI は、真空機器装置の販売とサービスを行うという目的で、1982 年に設立された。コンポーネントや研究用小型機器装置の販売やサービスから始まり、80 年代半ばまでは巻取式真空蒸着装置や真空熱処理炉といった産業機器向けが主力製品であった。
90 年代に入り、台湾国内では日系企業との技術提携やファンドリービジネスの開始などにより、電子部品業界や半導体業界へと産業がシフトしていった。また1998 年以降は急速にフラットパネルディスプレイ(FPD)関連の投資が拡大成長し、台湾は世界の半導体やLCD の生産拠点として活況を呈した。
UTI は、ULVAC 製装置のインストールのみでなく、台湾国内での生産にも着手した。台南に工場を建設し、数多くの装置を製造納入した。
しかし、近年の台湾エレクトロニクス産業では、企業の合併や海外進出が進み、国内でのものづくりビジネスのチャンスが減ってきている。
そこで、UTI では、ものづくりや生産の技能を高めるとともに、フィールドサービスの強化、ユニークな研究開発、多様性を活かす組織づくりなどに積極的に取り組んでいる。
Tiwan

カスタマーサポートビジネスの強化

壊れたから直す、必要な部品を販売する、といった従来型のカスタマーサポートに終始していては、激化しているグローバル競争に勝ち残っていけない。単なる修理にとどまらず、常に細心の注意を払い、お客様にとって有益となる改善・改良点をさまざまな方法で提案している。
また、UTI は、真空装置ユニットおよび部品の製造・洗浄・表面処理・カスタマーサポートを行うグループ会社であるULTRA CLEAN PRECISION TECHNOLOGIES CORP.(超浄精密科技股份有限公司)との連携を図った結果、台湾でのカスタマーサポートビジネスは台湾グループにとってなくてはならないものとなっている。

ユニークな研究開発

暮らし盤面
「Prolayer」レコード

UTI はメジャーな産業の大企業と連携したビジネスを主力としているが、見落としがちな小規模案件にも注力するなどさまざまな可能性にも目を配り、今はまだ見えていないビジネスの発掘にも積極的に取り組んでいる。
一方で、身近な生活に直結した、新しい分野に果敢に取り組んでいる。社員がアイディアを出し合い、議論し、最終的に役員会にかける方式で、半年に1件は新しい研究開発テーマが採用されている。
レコードコーティング技術「Prolayer」がその一つである。
※参考記事 アナログレコードの高音質・高品質化を実現
「失敗は数えきれないほどあるが、そのうちのいくつかでも成功すると、社員のやる気やモチベーションが上がる。身近な生活に関わっているテーマは、アルバックの技術をダイレクトに感じ、感動することができる。とにかく大切なのは感性、すなわち心に響くこと、開発を楽しむことだ」と呉は話す。
感性を発揮し、結果を五感で感じることができる楽しい開発から生まれる新規分野が今後ますます期待される。

グループの連携

台湾は地理的にコンパクトな島であるため、営業エリア間のバックアップがしやすい、上層部もすぐに国内の現場に行くことができるという距離的なメリットを最大限に生かしている。本社、営業所、工場およびグループ会社の枠はなく、密なネットワーク、連携、コミュニケーション、フットワークを大切にしている。
また、台湾企業の中国工場のお客様を、中国のULVAC グループ会社と連携してサポートしている。必要であれば現地でサポートすることも多くあるという。
「会社や拠点、部署が別であったとしても、お客様の目からみたら、一つの「ULVAC」でしかない。一体となることが大切」、と蔡は話す。

多様性を生かす組織づくり

台湾ビジネスでの女性の社会進出は近年めざましいものがあり、同社でも多くの女性社員が勤務している。特に材料や部品の営業部門で女性が大活躍している。
以前は「技術を売る」ということに主眼を置いていたため営業も理系学生や元技術者の採用が中心であったが、人の心に響く豊かな感性を持ち、コミュニケーション能力が高い文系学生、非技術者の採用も積極的に進めている。さまざまな「違い」を尊重して受け入れ、「違い」を積極的に生かしあうことにより、激しく変化し続けるビジネス環境や多様化する顧客ニーズに今後も対応していく。

レクリエーションでさらにコミュニケーションを促進

UTI では、忘年会、社員旅行、CSR 活動など、社員が集まれるイベントを数多く積極的に行い、団結力を大切にしている。2013 年には全員参加の運動会を初めて開催した。
すべてゼロからの企画であったが、数百名の社員が一丸となって準備や練習を進め開催していく中で、結束が強まった、気持ちが一つになって喜びや悲しみを共有でき組織の団結力が高まったと感じる声が多数あがった。また、2015 年3 月には自立生活を支援する康寧教養院のお年寄りや、低所得者、障がい者の方々へ、社員が持ち寄った衣類を8 箱寄贈し、感謝状をいただいた。

今後のビジョン

UTI 総経理
ULVAC TAIWAN INC. (優貝克科技股份有限公司) 董事総経理 蔡 有哲

私は2006 年に総経理に就任しましたので、今年で10年になります。
UTI の運営においては、組織で仕事をする体制を構築することに注力しています。担当のひとりが居なくても、他の誰かがサポートして業務が流れるようにしています。
このためには、権限の委譲により、フレキシビリティーのある活動を支えること、またメンバーの団結心が重要と考えます。そう言った意味では、さまざまなイベントや活動も、その一助となっていると自負しておりますし、今後も継続してまいります。
台湾内は、もとより、世界中のULVAC グループのネットワークを活用して、既存のビジネスにとどまらない、画期的な技術、ユニークな技術を台湾から発信し続けていきたいと考えております。引き続き皆様のご支援を宜しくお願いいたします。