アルバック・クライオ株式会社

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アジアを中心にクライオポンプ、低温機器の分野でトップシェアを目指して――FPD 産業の成長とともにビジネスを拡大

フラットパネルディスプレイの分野におけるクライオポンプで90%以上のシェアを誇るアルバック・クライオ株式会社(以下UCI)は、1981 年の創立以来、アジア地域におけるクライオポンプ市場に確固たる地位を確立し、産業を支え続けてきた。近年では、2009 年に冷凍機ビジネスに参入し、2014 年には岩谷瓦斯株式会社エンジニアリング事業部低温機器事業部の低温機器製造・販売事業を譲り受けるなど、次なる成長の柱となる事業にも積極的に展開している。今回の「拠点巡り」では、UCI 代表取締役社長の石黒雅彦氏に、現況と今後のビジョンについて話を伺った。

はじめに

アルバック・クライオ株式会社は、株式会社アルバック(当時日本真空技術株式会社)と米国BROOKS AUTOMATIONINC. (当時Helix Technology Corporation CTI 事業部)との共同出資、技術契約に基づく合弁会社として、1981 年に設立され、茅ヶ崎市のアルバック本社の構内を借り受けて操業を開始した。その4 年後の1985 年に現在の茅ヶ崎市矢畑に念願の本社工場を新築し、業容を拡大した。
LSI 向け半導体製造装置、スマートフォンやパソコン、液晶テレビなどのフラットパネルディスプレイ製造装置、メガネやデジタルカメラ向けの光学膜製造装置、宇宙空間を再現するスペースチャンバーなどの真空装置に使用されるクライオポンプの販売において30 年以上の実績を持つ。
特にアジア地域ではフラットパネルディスプレイ分野で優れた排気性能や低振動を武器に90%以上のシェアを占めている。また、16 インチ以上の大型クライオポンプもUCIの強みであり、これも市場の90%以上のシェアを獲得している。
2004 年、韓国アルバック・クライオ株式会社(UCK)を設立、2005 年には、同業他社に先駆け寧波アルバック・クライオ有限公司(UCN)を設立し中国での販路とサービス体制をいち早く整え、お客様との信頼を築いた。
2014 年6 月末時点でのUCI の社員数は79 人、アルバック・クライオグループでの連結売上高は45 億円である。

低温機器の分野でさらなる成長を目指す

2009 年以降、クライオポンプのキーともなる技術基盤の一つである冷凍技術を使用し、超伝導、医療機器、測定器、冷凍容器分野で使用される低温冷凍機ビジネスに参入した。
2014 年には、岩谷瓦斯株式会社エンジニアリング事業部低温機器部の低温機器製造・販売事業を譲り受けることで合意し販売を開始した。
岩谷瓦斯の極低温領域技術は高い評価を受けており、特に、研究・開発で使用される極低温冷却装置(クライオスタット)および極低温機冷凍機の技術は、UCI においても、従来のクライオポンプ技術とのシナジー効果による積極的な技術革新が可能となる。今後、成長著しい高温超伝導や医療分野などの新しい市場への参入効果が期待されている。拠点低温機器製品

「作業服を着用した営業マン」戦略で独自の営業体制で要望に迅速対応

UCI の海外営業戦略は独特だ。
つまり、海外営業という独立部署を持たず、サービス技術部門が海外営業を兼務し、お客様の要望をいち早く取り入れ、納品から修理、メンテナンスまで一貫して対応している。
石黒社長は、この海外営業のメンバーを「作業服を着用した営業マン」と表現している。
もう一つの特長として、韓国、中国、日本で工作機械も共通化しており、国が異なっても同じ品質のものを提供することを可能としている。また3 カ国間で常に技術者の教育を徹底し、負荷の状況に応じて人員の相互補完を実現していることも特長だ。

社内行事全員参加でコミュニケーションの円滑化を促進

同社では、数年前から毎年工場敷地内で、全社員が参加してバーベキューを行っている。「家族的な会社」を目指し、社員同士のコミュニケーションの円滑化を促進するイベントを積極的に行っている。回を重ねるにつれ現在では、ほとんどの社員とその家族全員が顔見知りとなるまでとなり「家庭的な会社」に近づいているのではないかと石黒社長は話す。
また、同茅ヶ崎市内に本社を置くアルバックテクノ株式会社と協同して釣り舟を貸し切る「釣りイベント」も開催するなどグループ間の交流も積極的に行っている。

今後のビジョン 韓国・中国の海外グループ会社と高度で密度の高い連携を

UCI は、産業発展の著しいアジアを最重要地域と位置付け、韓国においてはULVAC KOREA, Ltd. とUCK、中国においては愛発科商貿(上海)有限公司とUCN、それぞれ連携をとりながら、より高度で密度の高いサービスの連携を行っていきます。
特に、事業の大きな柱であるクライオポンプは、今後5年間で半導体や近年注目されている有機EL関連市場の拡販を目指していきます。また、もう一つの事業の柱である低温機器では、次の事業の柱となるべくクライオポンプと同等の売上高を目標にグループ一丸となって事業を成長させていきます。