ひげ剃りの刃にも利用されている真空内の硬質皮膜処理

真空ひばりの真空教室 Vol.22

はじめまして! 真空(まそら)ひばりです。

この教室で皆さんに「真空」のことをいろいろレクチャーしていきます。私の名前「真空ひばり」は、ボイルの法則で知られる科学者、ロバート・ボイルが、真空中では音が伝わらないことを知るために「ひばり」を使って実験したという逸話をもとにつけられた名前です。よろしくネ♪

ひげ剃りの刃の表面コーティングにも利用されている真空内での硬質皮膜処理

真空ひばり(まそらひばり)真空教室の講師を務める27歳。最近は花粉症に悩まされている。

真空技術に支えられているものがたくさんあることは、これまでのお話で理解してもらえていると思いますが、今回は真空内での硬質皮膜処理のお話です。ホームセンターの工具売り場で売っているドリルなどの切削工具の中で、刃の部分に金色のコーティングが施されているものを見たことはありますか?このドリルの刃には、表面にTiN(窒化チタン)などの硬質皮膜が数ミクロンの厚さでコーティングされています。TiN膜は、硬くて耐摩擦性に優れた薄膜で、金属との密着性もよく、切削工具表面処理コーティングには適しています。

この硬質皮膜が施された工具は、無処理の工具に比べて寿命が数倍長くなるという特徴をもっているんです。硬質皮膜としては、TiNの他にもTiC(炭化チタン)、TiAIN(窒化チタンアルミ)などがあって、それぞれ硬度、摩擦係数、耐熱性の違いに応じて金型、自動車用部品、いろいろな装飾品などの表面処理コーティングに使われています。

そしてこれらの硬質皮膜の成膜には、イオンメッキとも呼ばれるイオンプレーティングによるものが多く用いられていますが、その他には、スパッタリング、CVD法などの手法も使ってコーティングされています。

ダイヤモンドのように堅いDLC(ダイヤモンドライクカーボン)

もう一つ別のコーティングのお話をします。私はもちろん使うことはないけど、ひげ剃りの刃は、切れ味を良くするために、すごく薄くなっていますが、薄くなった分の耐久性を上げるために、刃先にDLC(ダイヤモンドライクカーボン)がコーティングされているものがあります。

DLCは文字通りダイヤモンドのようなカーボンで、硬くて耐久性がよくて、表面がとても滑らかで潤滑性があります。ひげ剃りの刃は、ステンレス製で刃自体の切れ味はかなり鋭いので、そのままだと肌まで削ってしまいます。そこで刃先にDLCをコーティングすることで、深剃りしても肌にはやさしいひげ剃りができるんですって。

しかもDLCは金属ではないため、金属アレルギーのある人でも使用できるという特徴もあります。このDLCの成膜方法は、イオンプレーティング、スパッタリング、CVD法など、さまざまで、用途に応じて使い分けされています。

用語解説
熱処理
金属、半導体、セラミックスなどに必要な性質を与えるために、固体の状態で行う加熱と冷却の総称。基本的には焼き入れと焼きなましの2種類に分類される。

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