真空中での温度は放射と伝導で伝わっていく!?

真空ひばりの真空教室 Vol. 11

はじめまして! 真空(まそら)ひばりです。
この教室で皆さんに「真空」のことをいろいろレクチャーしていきます。よろしくネ♪

真空中での温度は放射と伝導で伝わっていく!?

真空ひばり(まそらひばり)真空教室の講師を努める27歳。友達が次々と結婚し最近少し焦ってきた。

むずかしい話が続いたので、少しわかりやすい話をしたいと思います。中学3年生の理科の授業で習っていることなんだけど、覚えているかな。

2つの物体の温度が異なるとき、高温の物体から低音の物体へ熱が移動しますが、その伝達には、熱が何によって運ばれるかによって「放射」、「熱伝導」、「対流」の3つがあります。このうち真空という圧力の低い状態では、放射と熱伝導が主な手段となります。たとえば放射では、ストーブで赤外線によって熱が放射されるように、電磁波の形で熱が伝わるために、気体分子の関与はなく、気体分子が影響するのは、物質によって運ばれる熱伝導だけです。そして熱伝導は、圧力の大小によって伝達機構が異なります。

圧力によって熱伝導の様子は違ってくる!?

圧力が高くて気体の温度が場所によって異なるとき、高温側の壁から低温側の壁への熱伝導では、分子数が多いために気体分子同士が衝突して、運動エネルギーの一部を受け渡しあって熱が移動します。高温側の壁に衝突した気体分子は、壁から熱をもらってその温度が上がって、それから他の気体分子と衝突して運動エネルギーの一部を与えて温度が下がります。こうして運動エネルギーをもらった気体分子は、加熱されて温度が上がるんです。

ある断面積を横切って一定の時間に流れる熱量は、高温側の壁と低温側の壁の温度勾配(温度の変化の割合)の大きさに比例します。そのときの比例定数を「熱伝導率」といいます。

圧力が一定以上高いときの熱伝導率は気体分子の圧力、つまり分子密度とは関係がなくて、気体の種類・構造・温度によって決まる定数です。

いっぽう圧力が低くて、「自由分子条件(気体分子同士の衝突が容器の壁との衝突に比べて無視できるような条件)の場合、高温側の壁に衝突した気体分子は、他の気体分子と衝突することなく低温側の壁に到達します。この場合の熱伝導は、壁間の温度差と壁に衝突する気体分子の入射頻度、つまり圧力に依存するようになり、熱伝導率は圧力に比例します。

ちなみにこの原理を応用した真空計が「ピラニ真空計」です。円筒管内の気体分子が細線に衝突して熱を奪い、その熱量は圧力が高いほど大きくなることを利用して、電気抵抗の変化から圧力を測るといったしかけになっているんです。

真空中の熱の伝わり方

用語解説

電磁波

波動として空間を伝わって遠方まで到達するものを電磁波といい、その波長によって、電波、赤外線、可視光、紫外線、X線、γ線などに区別している。

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