ULVAC Technologies, Inc. (UTECH)

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技術のアンテナとしてのUTECH

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Process Lab or Manufacturing

米国は常に新技術及び革新的な製品の最先端研究開発における世界の中心であり続けてきた。その中でUTECH は、有名な大学や病院があるボストンのマサチューセッツ州に戦略的に本社を置いている。UTECH の使命の一つは、マサチューセッツ州だけでなく米国やカナダで開発されている新しい技術や革新的な応用分野を見つけ出すアンテナとなることである。
近年UTECH が成果を上げた事業開発分野としては、不揮発性メモリ技術、多機能ガラス、TFB などへの応用に成功した。これらの成功の鍵は、⑴アルバックの装置事業部とのコミュニケーションを密にしたこと、⑵アルバックの強みと技術的な優位点を生かせる応用分野に絞ったこと、⑶アルバックの技術と一致する応用分野及び技術を調査したことである。
このようにUTECH は適切な応用分野にフォーカスし、かつアルバックのグローバルな技術製造力を活用することで、未来につながる事業開発に成功した。
米国内では常に新技術とその応用分野及び製品が開発され続けているため、当社のお客様の多くは、大学、研究開発センター、ベンチャー企業である。UTECH はこれらの事業分野のアンテナとして、研究開発から製造まで一貫して顧客を引き付け、関係を深め、獲得することに成功してきた。
研究開発システムのプロセスを製造システムのプロセスに移行するアルバックの技術力及び研究開発から量産までの要求に応えることでお客様の信頼を得てきた。また、お客様が米国以外の地域、たとえば中国、台湾、東南アジア、インドに海外進出する場合でも、アルバックグループのグローバルネットワークを活かし、現地でサポートしている。

UTECH の事業ビジョンについて

アンダーソン社長は、UTECH の事業を強化、成長させるための 三つの基本的な方針について以下のように語る。
(1)販売及びマーケティング方針:既存顧客に強力なサポートを提供し続ける一方で、新規顧客を獲得し続ける必要がある。これは 直販及び代理店のリソースを組み合わせて活用して、UTECH の販売及びマーケティング組織を拡大・強化することによって達成される。
さらに、以下を含むマーケティング活動を拡大し続けていく予定である。①新しくより有益でナビゲーションが容易なWeb サイトの導入、②展示会への出展増加、③製品広告の出稿の拡大――である。これらのマーケティング活動は、継続的な改善を確認するために常にモニタリングする。UTECH は、市場が低迷した場合の一点集中投資のリスクを回避するため、 利益が見込まれる産業への販売及びマーケティング戦略を効果的に実施し、利益源及び顧客基盤を強化していきたい。
(2)営業方針:最終利益の状態を強化するためには常に前進し続ける必要がある。最も大きなステップは、アッシング装置「ENVIRO」シリーズだけでなく、現在では エッチング装置「NE-550EXa」 、「NLD-570」、超コンパクトスパッタリング装置「CS-S」、自動リークテスト装置など、当社の市場にフィットする製品を国内製造することである。より多くの製品を米国内で製造することによって、同等の輸入製品よりも十分に粗利益を増やすことができる。その一方でより競争力の高い価格で製品を提供できる。この効果を最大限にするには、最高品質かつ最も望ましい価格を提供する強力なサプライヤーとの関係を維持することも重要である。
さらに、レスポンスを高め、サービス契約、スペアパーツ事業及び顧客トレーニングプログラムをより積極的に追及するため、カスタマーサービスの組織を強化した。その結果、お客様にとって生産性や作業性の向上につながり、UTECH にとっても財務結果が強化され、双方の利益につながった。
(3)技術開発方針:米国は研究開発の中心であると同時に技術ベンチャー企業を育てていく環境であるため、アルバックの「アンテナ」としての役割を引き続き果たしていく。UTECH のお客様の多くが、市場投入する製品を開発しているが、非常に初期(早期)の段階にあり、市場需要の高まりに伴い世界規模での大量生産が必要になる可能性がある。たとえば、LED/OLED、パワーデバイス、太陽電池、燃料電池、TFB を含むエネルギー及び環境に関連する分野で成長が見込まれている。また半導体市場では、次世代メモリとロジックデバイスなどの成長が見込まれる。さらに自動車産業での新たな市場にも期待できる。以上のことか
ら、いち早くお客様の研究開発から関わり、製造、販売、カスタマーサポートまでを一貫して行い、お客様が満足される生産活動をサポートすると同時に、お客様のニーズをフィードバックすることで、アルバックの新規事業の開発につなげていく。

今後のビジョン

米国では、停滞気味であるものの、着実な経済回復が見られる。この傾向によって、多くの米国人の購買意欲は徐々に戻ってきている。住宅、自動車、電子機器、家電などの市場動向の経済指標はすべて増加している。幸いなことに、真空の応用技術は、メモリ及びロジックデバイス、MEMS デバイス、パワーデバイス、TFB、自動車部品などさまざまな産業分野で広く普及している。経済回復と米国での製造が復活する傾向により、アルバックの製品、技術及びサービスのビジ
ネスチャンスを活かし、引き続き事業開拓とマーケティングのキャンペーン活動を積極的に行い、UTECH のより以上の成長に拍車をかけていきたい。

Shared Vision – 株式会社アルバック 代表取締役執行役員社長 小日向 久治
先進技術の発信基地、米国でアルバックグループの存在意義を果たして欲しい

私は、1975 年、弱冠25 歳ながら初代駐在員としてULVAC North America Corporation(UNAC)の設立に加わったことを今も誇りに思っております。
設立直後にIBM 社から世界初のコンピュータ制御蒸着装置の大型受注を頂いたことは幸運でした。そしてカナダ中央銀行からは偽札防止デバイス成膜用ロールコーター、コマッグ社からは磁気ディスク用インラインスパッタリング装置など世界をリードする先進的装置を次々と受注することができました。
一時期、貿易摩擦に端を発したバイアメリカン(Buy American)運動や、2000 年9月11日の同時多発テロなどで苦しい時期も経験しましたが、それを乗り越え、現在は、最先端半導体製造装置やTFB 製造装置などの先進装置を提供し続けています。
米国は、昔も今も先進技術の発信基地であり、世界最大のマーケットでもあります。UTECHは、先進技術のアンテナとしてその機能を十分発揮し、アルバックグループでの存在意義を見事に果たしてくれることと期待しています。

(※この記事は、2014年6月発行の 広報誌No.64に掲載されたもので、内容は取材時のものです。)

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