トレンチ構造パワーデバイス製造プロセス

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パワーデバイスは低消費電力化を実現するデバイスとして期待されています。これまでのパワーデバイスはSi基板を用いていましたが、物性限界があるため、次世代の基板としてSiCやGaNなどのワイドバンドギャップ半導体の活用が広がっています。パワーデバイスの構造の中でも、微細化、低抵抗化にメリットがあるトレンチ構造を例に、パワーデバイスの製造プロセスとして必要となる技術を紹介します。

トレンチ構造パワーデバイスのプロセスフロー

1. イオン注入(N+注入)

レジストでマスクし、窒素イオン(N+)を注入します。

SiCは拡散係数が低いため、熱拡散技術の代わりにイオン注入で数種類のエネルギーを注入して、深さ方向に注入エネルギーを変える必要があります。SiC基板では注入する濃度よって、高温と注入と低温注入を使い分けます。

SiC向けイオン注入プロセスの紹介

SiC高温イオン注入装置

 

2. イオン注入(P+注入)

レジストでマスクし、リンイオン(P+)を注入します。

SiCは拡散係数が低いため、熱拡散技術の代わりにイオン注入で数種類のエネルギーを注入して、深さ方向に注入エネルギーを変える必要があります。SiC基板では注入する濃度よって、高温と注入と低温注入を使い分けます。

SiC向けイオン注入プロセスの紹介

SiC高温イオン注入装置

 

3.トレンチ加工用マスク成膜

トレンチ加工のためにCVDで絶縁膜を成膜します。

 

4.マスクエッチング

レジストを塗布し、トレンチ加工する部分のマスクをドライエッチングします。

トレンチ形状を垂直にするためにはマスクも垂直にエッチングする必要があり、その際に側壁の荒れについても抑制が必要です。

SiCトレンチ加工プロセス

GaNトレンチ加工プロセス

ドライエッチング装置の紹介

 

5.トレンチエッチング

ドライエッチングでトレンチ加工します。側壁の平滑性、トレンチ底部のラウンド形状が要求されます。

SiCトレンチ加工プロセス

GaNトレンチ加工プロセス

ドライエッチング装置の紹介

 

6.カーボンキャップ成膜(SiC向け)

活性化アニールのプロセスにおいて、SiCでは結合の強さから1600℃以上の高温アニールが必要となります。高温になるとSiCの場合、Siが蒸発してしまい表面荒れを引き起こしてしまうため、スパッタリングで緻密なカーボン膜を成膜することで対処します。

SiC向けイオン注入プロセスの紹介

カーボンキャップ向けスパッタリング装置CS-200

 

7.活性化アニール&カーボン除去

活性化アニール後アッシングによりカーボンを除去します。

8.ゲート電極形成

ゲート電極生成のためのPoly-Siを成膜します

9.ゲート絶縁膜形成

CVDでSiO2を成膜します。

レジストパターンを作り、ドライエッチングでSiO2を加工します。

CVD装置の紹介

10.ソース電極形成

蒸着もしくはスパッタリングでメタルを成膜し、電極を形成します。

マルチチャンバ型スパッタリング装置紹介

11.裏面電極形成

蒸着もしくはスパッタリングでメタルを成膜し、裏面電極を形成します。

マルチチャンバ型スパッタリング装置紹介

 

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