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スパッタリングとは、薄膜形成に用いられる物理的気相成長法(PVD)の1種である。
ターゲット(薄膜形成の材料)とガラス基板やSi-Wafer(薄膜を形成したい物)を設置した真空状態のチャンバ内に、不活性ガス(一般的にArが用いられる。)を導入する。 不活性ガスであるArは、ターゲット側を陰極として高電圧を印加することでAr+となる。
Ar+が陰極であるターゲットに引き寄せられて、ターゲットに衝突することで、ターゲット原子/分子がが叩き出され、基板やSi-waferに薄膜が形成される。 真空状態で処理を行うため、不純物の少ない薄膜形成ができる。
スパッタリングの特徴
スパッタリングの特徴は以下のような内容があげられる。
- 付着強度が強い
~50eV程度のエネルギーで入射する。高融点材料でも成膜可能。 - 段差被覆性(ステップカバレッジ)に優れている
プロセス圧力が高いため、平均自由工程が短く、飛行途中の成膜原子に散乱が起こる(異方性を強める) - 膜厚分布が比較的取りやすい
ターゲットが広い為。 - 合金膜の組成制御がし易い。
ターゲットを合金にすることで対象可能 - カソードなどの設置方向に制約がない
- 枚葉化しやすい
成膜再現性に優れている。タイムパワー制御可能。ターゲット交換頻度が低く量産に適している
マグネトロンスパッタとは
電極近傍の電場と直交する磁場を発生させるためマグネットや電磁石を設置する。磁場があることにより、磁場に電子が集まり、電子密度の高い空間を作り出すことができる。電子密度が高いことで、電子がArに衝突することが増え、Ar+の生成が促進される。増加したAr+がマイナスに帯電しているTargetrに引き寄せられてスパッタするため、成膜速度を速くすることができる。この方法はDC、AC、RF放電でも使用可能。
放電方式によるスパッタリングは下記で紹介しています。
アルゴン-スパッタ
スパッタリングを行う場合、エネルギーをもった入射粒子には希ガス元素であるアルゴンを電離させたArイオンが用いられる。希ガス元素であるアルゴンが用いられる理由として、いくつか挙げることができる。
下記に、理由を記載する。
①スパッタリング率が大きい。
②不活性Gasであり、他の元素と反応しにくい。
③ 安価。
④ 高純度のガスが流通。
希ガス元素である、クリプトン(Kr)やキセノン(Xe)も使用されることもある。