原子層堆積 (ALD)

原子層堆積(ALD)は最先端な成膜技術であり、原子層レベルの極薄膜を、正確に制御された手法により堆積させることができます。ALDは、優れた膜厚制御と均一性を実現するだけでなく、アスペクト比の高い構造に対しての成膜や、形状に沿った成膜、3D構造へも成膜することができます。

ALDは自己制限的な表面反応にする成膜法で、ピンホールやパーティクルが非常に少ない膜が可能であり、広範囲な用途に対し適用が見込まれます。また、薄膜と界面の制御および高品質な薄膜は多くの用途で要求されています。プラズマの活用は、広範な材料において、薄膜特性と制御性向上を可能にします。また、特有な表面への前処理を行うことにより、低ダメージで高品質なデバイスを作るプロセスを実現します。

※日本国外からのお問合せ、またはOxford InstrumentsのプラズマテクノロジーのALD、ALE以外の問い合わせはOxford Instrumentsにお問合せ下さい。

ハイライト

  • 原子層ごとの堆積が可能
  • 厳密に形状に沿ったコンフォーマルな成膜が可能
  • ピンホールおよびパーティクルが少ない成膜が可能
  • 低ダメージ成膜が可能
  • 低温プロセス
  • 核生成の遅延を抑制
  • 広範囲な材料とプロセスに適用可能

原子層堆積プロセス

原子層堆積は、通常、4ステップのサイクルで構成され、要求される膜厚を得るために必要な回数が繰り返されます。Al(CH3)、(TMA)、O2プラズマを用いたAl2O3のALDの例を、以下に示します。

ステップ 1) 基板にTMA原料プリカーサーを投入する。TMAは、表面に吸着し反応を生じる。プリカーサーと条件を正しく行うことで、反応が自己制限的になる。

ステップ 2) 全ての残存した原料プリカーサー原料および反応生成物をパージする。

ステップ 3) 反応性酸素ラジカルを用い、低ダメージなリモートプラズマを表面へ照射することにより、表面が酸化され表面配位子が除去される。表面配位子の個数が制限されるため、この反応は自己制限的になる。

ステップ 4) 反応生成物を、チャンバ内から排出。
ステップ 3 )のみ、H2Oによる熱プロセスかO2プラズマで変わります。ALDプロセスは、1サイクルあたりオングストローム(またはサブオングストローム)スケールの厚さを成膜し、原子スケールで膜厚を制御します。

TMAの化学的吸着

TMAパージ

O2プラズマ

パージ

  • Key Benefits
  • Key Features
  • Processes

サーマルALD

  • 高アスペクト比で複雑な構造でもコンフォーマルな成膜が可能
  • 原子層堆積では、以下のさまざまな材料の成膜が可能
    • 酸化物:
      Al2O3, HfO2, SiO2, TiO2, SrTiO3, Ta2O5, Gd2O3, ZrO2, Ga2O3, V2O5, Co3O4, ZnO, ZnO:Al, ZnO:B, In2O3:H, WO3, MoO3, Nb2O5, NiO, MgO, RuO2
    • フッ化物: MgF2, AlF3
    • 有機ハイブリッド材料: Alucone
    • 窒化物: TiN, TaN, Si3N4, AlN, GaN, WN, HfN, NbN, GdN, VN, ZrN
    • 金属: Pt, Ru, Pd, Ni, W
    • 硫化物: ZnS, MoS2

リモートプラズマALD(PEALD)

サーマルALDの利点に加え、PEALDはより高品質な膜を得られ、かつより広いプリカーサーの選択を可能に:

  • プラズマは低温ALDプロセスを可能にし、リモートソースにより低プラズマダメージを実現
  • プリカーサーとして水の使用を排除し、ALDサイクル間のパージ時間を短縮( 特に低温の場合)
  • 不純物除去による高品質で低抵抗、高密度な膜を実現
  • 金属化学を水素プラズマで効果的に実現
  • 化学量をフェーズ毎に制御
  • 核形成遅延の低減
  • プラズマ表面処理
  • チャンバのプラズマクリーニングは一部の材料に対して可能

高レートプラズマALDによるSiO2高アスペクト比(15:1)構造へのコンフォーマルな成膜

ALDの主な特長

  • エンジニアによる保証されたプロセス
  • プラズマ表面前処理
  • 酸化物
    • 高品質な低温処理
    • ドーピングと混合
  • 窒化物(FlexAL)
    • 低抵抗率
    • 低酸素含有量、高屈折率
  • 金属
    • プラズマによる低核形成遅延
    • 低温成膜
  • 基板バイアス
    • プラズマ中、ALDを使用して材料特性をコントロール
      • 応力、密度、結晶化度(その他)
    • プラズマ前にALDを使用して基板の表面をプリクリーニング
      • Al2O3、HfO2、SiO2、Si3N4をエッチング
    • プラズマ処理後、マテリアルおよび表面特性を改善する
  • さらなるプロセス制御および材料特性のための基板バイアスのオプション

ALD SYSTEMS

オックスフォードインストゥルメンツのALD装置は以下の機能を提供することができます。

FLEXAL ATOMFAB
ローディング ロッドロック or カセット クラスター化可能なカセット
基板 最大200mm基板トレーによる複数処理
バブル化した液体 & 団体プリカーサー 最大8+水、オゾン、ガス
プリカーサー最大設定温度 200ºC
MFC 制御ガス供給システム 1) 熱ガスプリカーサー(e.g. NH3, O2) 2) プラズマガス (e.g. O2, N2, H2) 外付けで最大10

広範囲な材料

原子層堆積(ALD)は広範囲な材料の成膜が可能であり、オックスフォードインストゥルメンツのプロセス技術者により、プロセスを設定し確立することができます。オックスフォードインストゥルメンツのプロセス・ノウハウおよび広大なネットワークは、出発点において非常に良い足がかりになる指標を提供でき、確立したプロセスを迅速に実現します。

当社のプラズマに関するノウハウや、MFCで制御された混合ガスを活用することにより、プラズマベースのプロセスが実現できます。

2D材料


ALDにより2D材料を成膜することができ、高品質MoS2薄膜を目標にした開発が進んでいます。優れた特性を持つ2D硫化物を用いたALDの化学組成制御により、CMOSに適合する温度で、大面積ウェハー(200mm)において膜厚を正確にデジタル制御できる技術が実現しています。

金属 フッ化物 硫化物
Pt AlF3 MoS2
Ru MgF2
酸化物 窒化物
Al2O3 AlN
Co3O4
Ga2O3 GaN
HfO2 HfN
In2O3
Li2CO3
MoO3
Nb2O5
NiO
SiO2 Si3N4
SnO2
Ta2O5 TaN
TiO2 TiN
WO3 WN
ZnO
ZrO2