パワーデバイス向けイオン注入装置2機種を開発、販売開始のお知らせ

2017年7月6日 株式会社アルバック

株式会社アルバック(本社 神奈川県茅ヶ崎市、代表取締役執行役員社長 岩下節生、以下アルバック)は、パワーデバイス向け極薄ウェーハ対応・低加速イオン注入装置と高加速イオン注入装置「SOPHI(ソフィ)」2機種を開発、販売を開始しました。

【背景】

自動車・鉄道車両、家電市場等で需要が高まっているパワーデバイスはIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor : 絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)をはじめ、SiC(Silicon Carbide) 、GaN(Gallium Nitride:窒化ガリウム)等、多種の技術開発が進んでおります。
アルバックでは、各種パワーデバイス向けにラインアップを揃えておりますが、このたびIGBT向けイオン注入装置として2機種を開発し追加発売開始いたしました。
近年IGBTでは駆動電力の損失軽減やスイッチング速度の高速化の特性向上要求やモジュールの小型化のためIGBTとダイオードを1チップ化する製品(RC-IGBT)*1で、低加速・高濃度のイオン注入工程での生産性改善が求められています。
低加速・高濃度処理での生産性を大幅に向上させ処理時間当社比で1/60に削減した低加速高濃度対応イオン注入装置「SOPHI-30」及び、駆動電力の損失軽減やスイッチング速度の高速化を改善、加速電圧2.4MeVまで可能な高加速イオン注入装置「SOPHI-400」を開発し、販売を開始いたしました。(適用領域を図1,2に示す)

【技術の概要】

1. 低加速・高濃度対応イオン注入装置「SOPHI-30」

RC-IGBTはIGBTとダイオードを1チップ化する際に薄ウェーハの裏面のCollector部のP型部をN型に反転するために低加速・高濃度処理をする要求があります。
従来のイオン注入装置は低加速・高濃度の処理をおこなう場合、処理時間が長くなり、生産性が低いという問題がありました。低加速・高濃度を処理する場合、生産性を考慮し大電流イオン注入装置を使用する場合、複数枚のウェーハをディスクで回転し処理するので、薄ウェーハを使用するため割れるリスクがあるため使用できません。このため枚葉処理の中電流イオン注入装置が使用されてきましたが、低加速・高濃度領域の生産性が低いというデメリットがありました。
このたび開発した「SOPHI-30」は、従来装置のデメリットを解消し、低加速・高濃度処理が当社比で1/60の時間で可能となり、枚葉処理のため極薄ウェーハ割れの問題を払拭しました。
従来型のイオン注入装置は、イオンを生成する場所からウェーハまでの距離が長く、低加速でビームを輸送する場合、ビーム電流をロスしていました。このため、20keVで2E15ions/cm2の処理をおこなうのにウェーハ1枚で10分程度を要していました。
「SOPHI-30」は、ビームを輸送する距離を極限まで短くし、ビームの輸送効率を改善することで、同じレシピでウェーハ1枚あたり10秒の処理が可能(当社比1/60)、フットプリントは当社比1/3を達成させました。

■特長「SOPHI-30」
① 低加速・高濃度のプロセスで当社比1/60(ウェーハ1枚あたり10分→10秒)の処理時間が可能
② フットプリントが当社比1/3、装置価格当社比1/2
③ 極薄ウェーハ対応

2.高加速対応イオン注入装置「SOPHI-400」

IGBTの特性改善要望として、駆動電力の損失軽減やスイッチング速度の高速化の特性改善が求められています。これらを特性改善するために極薄ウェーハの裏面よりField Stop層*2に加速電圧として2MeV(2,000keV)程度の高加速イオン注入を行いたいという要望があります。本装置では極薄ウェーハを枚葉式で2.4MeVまで加速し処理することを可能にしました。
また、本装置では次世代プロセスとして水素(H)を使ってのField Stop層の形成も可能であり、水素(H)で深さが約4μmのプロファイルが形成でき、駆動電力の損失軽減やスイッチング特性の改善が図られます。*3
また、水素の場合、低温での活性化が可能となり、高価なレーザーアニールを使用せずファーネス装置(アニール装置)で処理ができることになり、製造ラインのトータルコストの低減も可能となります。

■特長「SOPHI-400」
① リン(P)イオンで2.4MeV(2,400keV)まで注入可能
② 水素(H)でのField Stop層の工程が可能
③ 極薄ウェーハ対応
*1 Reverse-Conducting Insulated Gate Bipolar Transistor
IGBTとダイオードを1チップ化したデバイス

*2 Field Stop層: 特性改善のためにウェーハを薄くすると耐電圧が不足する。それを補うためにnベース層に濃度の濃いn+層を注入する。このn+層をFS層と呼ぶ。ここで言うFieldとは高電界のことで高電界を Stopする層 (Layer)で、FS層(Field Stop Layer)と呼んでいる。

*3 特許出願中

【今後の展望】

本技術は、IGBT製作工程において工程時間の短縮、特性の改善に大いに貢献することができると確信しております。アルバックは、環境デバイスであるパワーデバイスの高性能化に向けて、イオン注入装置のみならず成膜装置やエッチング装置等さまざまなソリューションを提供してまいります。

【図1】「SOPHI」のプロセス領域

【図2】RC-IGBTの構造と適用装置

【装置写真】

【ご案内】

7月11日から13日まで米国サンフランシスコで開催されるSEMICON WEST 2017に出展いたします。

 


お問い合せ

株式会社アルバック elec_info
第一営業本部電子機器営業部
TEL:0467-89-2139 / FAX:0467-89-2254
関連ウェブサイト
https://www.ulvac.co.jp/products_j/
https://www.ulvac.co.jp/products_j/equipment/applications/power-device/front-side_power-device/ion-implant_front-side/sophi-200_260